「清巳ちゃーん!清巳ちゃんといると落ち着くよおー
ひざで寝ていい?ちゃんとお話するから。。」
子供のようにねだる青葉。ひざまくら営業も三年前のまんま。
香水も三年前と同じ。バニラの甘い匂い。青葉の温かい体温は
変わっていなかった。清巳は一瞬揺らぎそうになったきもちを
振り切り、冷たい目で青葉を見る。
「ねえ。。青葉くん。。三年前。。青葉くんのお客が死んだわよね。。」
「ああ。。ぽすらぶでも超書かれたけどあんなの嘘だよ!」
「じゃあ私の存在も嘘だっていうの!」
清巳は立ち上がり、凄絶な形相で青葉を見た。
「このルームから大声を出しても届かないわよ。そういう
風に「してもらったから」。。」
清巳は強引に青葉を抱き寄せ、口付けた。
舌が2つに割れている。よくみると清巳の首元からも
輪郭にかけて、虹色の鱗が生えてきてる。
とてつもない恐ろしさを感じながら
青葉はそれでも、清巳から与えられる甘い刺激に酔ってしまった。
長い、長い口付けの途中、清巳は「あの螺子」を青葉の
喉元に押し込む。えづいてしまいそうになったので、プラチナを
口に含み、「出されたものはちゃんと食べましょうね」
といいながら強引に流し込んだ。螺子はもぎ取った時よりも
何故かかなり小さくなっており、何とか青葉の細い喉を通っていった。
口付けが終わる。
青葉の終わりのときもくる。
「貴方は浅ましい私の姿を一生忘れないでしょう。
今飲ませたのは貴方が私にくれたあのオルゴオルの螺子。
酔って、そのオルゴオルでもって私を殴り、ぼろぼろにされた
オルゴオル。貴方はもう忘れただろうけど。。
これから貴方の心音はその音と同化するわ。
一生、一瞬たりとも私たちを忘れる事ができなくなる。」
「さようなら」
そういってすっくと立ち、店を後にしようとした清巳に
青葉は叫んだ。
「清巳ちゃん!ごめんなさいごめんなさい!
清巳ちゃんを追い詰めて、オルゴオルが壊れるまで
清巳ちゃんを殴ってごめんなさい!
ソープやAVに落して、挙句に捨てて本当にごめんなさい!
許してなんていわない、ごめんなさいごめんなさい!
俺、本当は一目で清巳ちゃんだってわかった。
でも苦しくて何もいえなかった。。
覚えてないわけなんてない。
清巳ちゃんは浅ましくなんてないよ。
あのときのままの綺麗な清巳ちゃんだよ?
昔も、清巳ちゃんが体と心、削って何かして
くれるたび苦しかった。清巳ちゃんが笑顔でボトルいれて
くれるたび本当は苦しかった。清巳ちゃんだけじゃない
他の客も。。だから俺色んなものに逃げた。。
一番は金だけど。。もう。。いらない。。
何もいらない。。ただこれだけは嘘じゃないよ。
もう一度会えてよかった。。もう殺してくれていいよ。。」
清巳は無言で歩き出した。
「清巳ちゃん!」
「本当に悪かったのはどちらだったのかしらね」
店を出て一人歩く。鱗は消え、舌も元に戻っていた。
オルゴオルの無念は晴れただろう。
だが青葉の告白は重苦しい罪悪感を清巳に残した。
「。。戻らなきゃ。私にはまだすることがある。。」
そういって足早に真琴の待つあのバーへと急ぐ清巳であった。