ダイハツ新型ムーヴのTVCM〜愛ってなんですか?〜 | ビッグマックはもういらない

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小松菜奈が擬人化されたトリセツに扮してカフェの客(長谷川博己)に「愛って何ですか?」と訊くところで終わるこのCMの続きは一体どうなるのかを考えてみた。
感情をプログラミングされていない人工知能に愛を説明することはむつかしい。
しかしトリセツ側からすれば、愛が何かを知らなければ彼が「その優しさ、愛ですね」と言うことはできないはず。だから彼はちゃんと説明できるはずだと考えている。

哲学的問題ですね。エロスですね。

一方でこのCMの主題の本当の狙いを考えてみると、メーカーの意図とは反してCM制作側の隠されたコンセプトがあるんじゃないかということにたどり着きます。

このCMはダイハツ新型ムーヴの「安全性能」篇というタイトルが付けられていて、後方誤発進抑制制御機能を説明することが目的です。
その後方誤発進抑制制御機能というのは簡単にいうと人間の生命財産を守るための機能です。
そしてその機能には感情がプログラミングされていない、愛とはなにかもわからない人工知能であるということが描かれています。
私たちはそんな機械に命を預けなさいというコマーシャルなのです。
そしてこうした制御機能はどんどん進化を遂げて人類を安全で安心なものにしますとそのうち言ってくるに違いありません。
人間から「気をつける」という能力をすべてわれわれトリセツ側に預ければいいんです、愛なんてわからないけど。
と描かれていると見ることができます。
擬人化されたトリセツがどことなく頼りないキャラクターとして描くことで、本当にこのままでいいの?と問題提起していると見ることができます。