私は、初めて目にした8年前からあの靴に強く憧れていた。しかしどの売り場に行っても子ども用のみのサイズ展開。馬鹿の大足を地で行く私に合うサイズなど到底無く、滑走することは叶わず、遥かな夢の1つとなった。
それから数年が経って大学生になり、アルバイトを始めた私は、初任給を汗ばむ右手に握りしめてホームセンターに向かい、必要そうな工具や部品を買い込んで靴を作った。


だが、これはあの夢の靴には程遠いものだった。うるさい、もろい、曲がれない、止まれない、歩けない。夢どころか、5重苦だった。
更に5年の時が流れた。社会人になって営業職なども経験した私は、かつての様な無茶ではなく大人の手段で夢を追い求めた。まずはインターネットを駆使し、
1.大人用サイズが外国には存在している
2.メーカーの通販サイトから現在買うことは出来ない
3.大昔、ム○サキスポーツに売っていた
という3つの情報を得た。1は英語力不足、2はもうどうにもならないと判断した私は、関東にある全てのムラ○キスポーツに電話を掛けて在庫が無いか確認した。どの店にも無い。子ども用すら無い店もあったし、大人用を10年ぐらい前に売っていたと教えてくださったベテラン店員さんもいた。10年前にタイムスリップしたい。
これはもう在庫は日本に無く、新たに輸入するしかないと考えた私は、"世界最大のおもちゃ箱"ことト○ザらスの某店のサービスカウンターで輸入のお願いをした。非常に真摯に対応してくださったが、答えは頑としてNOだった。数十足同時にしか輸入できないらしい。私の足は2本しかないし、お金もないので諦めざるをえなかった。
しかし、持つべきものは友である。そんな私の落ち込んだ心理を見抜いた心理学部出身の友人が、幅広い人脈と豊富なネット知識を生かし、台湾から輸入する手筈を整えてくれたのだ。それから間もなく、私の元に夢に見続けた本物の大人用ローラーシューズが届いたのだった。

長年欲しかったものを手に入れたという、物欲が満たされた快感。紆余曲折を経たからこその達成感・到達感。友のありがたみ。そうした感情で心が満たされただけでなく、この夢の靴はとにかく便利である。
スニーカーとしてオンロード・オフロードを問わず軽やかに歩けるにも関わらず、滑りたい時だけスムーズにいくらでも滑ることができる。そして、速い。とにかく速い。私はバイクにも車にも自転車にも満足に乗れないが、これ一つ履いていれば風を切ってどこまでだって行けてしまう。
更に、楽しいだけではない。つい先日、仕事で得意先との大事な打ち合わせに遅刻してしまいそうな時にも助けられたことがあったのだが、この一部始終が偶然にもビデオカメラにおさめられていた。せっかくなので、私の長ったらしい文章での説明よりこの映像を見て、その衝撃的な便利さを感じ、皆さんにもぜひ輸入してみていただきたいと思う。
または
http://www.youtube.com/watch?v=sRauxru9noc
ちなみにこのほぼパーフェクトな夢のシューズ、欠点は無いのかと思われる方もいらっしゃるだろう。しばらく履いてみた私が感じる欠点は1つだけだ。ダサい。


