「中立国の戦い-スイス、スウェーデン、スペインの苦難の道標」を読んで。<<中立の困難さ>> | ピンクフラミンゴのブログ

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■私は武装中立論者

私は武装中立論者たが、「中立宣言」をしたところで、無傷ではいられないし、巧な外交戦術が必要だと考えていた。

この本を読んで生々しさを実感した次第である。

光人社NF文庫 著:飯山幸伸(2005年8月15日 発行)

↓は新装版(表紙の過激さは抑え目に..)

<<第二次世界大戦で中立宣言した国>>

■占領された国

ノルウェー

フィンランド

デンマーク

エストニア

ラトビア

リトアニア

ハンガリー

ルーマニア

ブルガリア
■終戦まで中立を維持した国

スウェーデン

スイス

スペイン

ポルトガル

 

<<スイス>>

■外交

ドイツ圏から入国したユダヤ人に対し、「赤いJマーク」を押し、実質的に入国制限を実施

ドイツには貿易を継続

1940年1月 G・モンタ外相死去

■被害

1944年4月1日 米軍機がシャフハウゼンを爆撃。百数十人の一般市民が死亡。(ドイツ側に突出した地域)

1945年3月~4月 米軍機がバーゼル、チューリッヒに爆撃 

 

<<スウェーデン>>

■外交

ドイツの侵攻を受けたノルウェー(友邦国)から保護を求めたホーコン国王を始めとした王族の受け入れ拒否

ドイツ占領地域からノルウェーへの鉄道輸送路の提供

ベーネミュンデから試験中に飛来したV1ミサイル、V2ロケットの残骸をイギリスに提供

1946年10月 ハンソン首相死去

■被害

米軍機がヨテボルイのSKF社のボールベアリング工場へ「誤爆」

1940年から終戦まで、枢軸国/連合国の軍用機がのべ5000機領空侵犯

 

<<スペイン>>

■外交

1944年1月末 米国から石油の禁輸を受ける。

ドイツへのタングステン禁輸(上記の石油禁輸解除)

1944年8月 ボルダーナ外相狭心症で死去

国際連合への参加を拒否される。(1955年に加入)

■被害

特になし

 

<<ポルトガル>>

 

■外交

イギリスからノルマンディー上陸作戦時に「ドイツ資本の鉱山(タングステン)の操業停止」を求められ、中立を守るため全ての鉱山の操業を停止。10万人の鉱山労働者の失業。200万ポンドの機会損失を喰らう。

■被害

不明(本著には記載されておらず。)

 

<<日本は中立可能か?>>

現状では難しい。

日本は鉱物資源(メタンハイドレート、水は考慮外とする。)を産出はない。

この点では、スウェーデンやスペインより中立化はしやすい。

ただ、地勢的価値のある場所がある。

宗谷海峡、津軽海峡、下関海峡、対馬海峡、奄美諸島から尖閣諸島まである。

自由航行権を得るために北海道、九州、沖縄は占領する価値があると認識してほしい。

それを防ぐための外交努力は発生し、防衛すべき戦力は必要と考える。
 

■感想

「非武装」中立論者にも読んでほしいと思った。

中立を維持するにはスウェーデンやスイスのように、特定の陣営を支持するような人道的支援はできなくなる。

たとえ友邦国であったとしても、クールな対応をとらないといけない。

紹介した国はスイスを除き実質非武装であった。

「保護国化」を目的にドイツ又はソ連に占領された国もある。

最後まで独立を保った国も、意図的なものを含め誤爆を受けている。
非武装であっても、外交努力は必要である。

現に3か国で実質的な外交指導者が病死している。

「非武装中立=平和=人権保護」と簡単にとらえてはいけない。

他国からは「エゴの塊」とみられる。

現にスイスは欧州では「連合国と枢軸国に尻尾を振った国」という認識が強い。日本では「平和という国」という位置づけだが..

 

以上。