米国破綻により、米ドルが暴落して紙切れになるという説があります。
ところが、少なくともドル円で米ドル暴落が起きる可能性は低いと思いますので、その理由を解説していきます。
米国は莫大な貿易赤字国であり、輸出長者国である日本企業はそうした米国への販売で稼いでおり、さらに米ドルは基軸通貨として使われていて、タイ、ベトナム、中国、台湾、香港、オーストラリアなどの国への輸出も米ドルで取引しています。
他国でも同じ状況です。中国、台湾、など様々な輸出貿易立国がありますが、結局、これらの国の企業も米ドルで取引をしています。ご多分に漏れず米国債を購入して多額の外貨準備高を米ドルで抱えています。つまり米ドルが暴落すると、世界の様々な輸出依存型の国の経済が大打撃を受けます。
それを避けるため、日本をはじめとする世界各国が米ドルを買い支える動きが出ると思います。引き続き米国債を買うのか、何か別の方法かは分かりませんが、いずれにせよ米ドルを買い支える方向に動くわけです。
もちろん、中小企業であれば取引通過を米ドルから貿易国間の通貨による取引に変更していくことも簡単かと思いますが、大企業で決済通貨を米ドルから変更するのは大変です。決済通貨の変更、社内会計システムの変更、米ドル以外の通貨の確保などなど、米ドル決済通貨からの脱却準備が整うまでの期間においては米ドルを決済通貨にするしかありませんから、少なくともそれまでの期間は米ドルを買い支えするよう財界から政府に要請するでしょうし、国民も「ドル円30円で自分の勤務している企業が倒産するくらいなら米ドルを買い支えてほしい」と考える流れになると思われます。
そして何より、属国日本として米国債は売却しないでしょう。
以上、当面、米ドル暴落は起きないと私は考えます。
以上は比較的に短期から中期にかけての動きですが、
今後、中期から長期にかけては、
・日本破綻で痛みを感じて初めて分かる気づき
・基軸通貨ベースにしたグローバル展開の短所への気付き
・隠蔽されてきた銀行制度に対する気付き
・地産地消的な内需拡大の動き
これら様々な要素が絡み合いながら、経済を取り巻く状況も変化していくますので、それに合わせてドル円に関しても動向を見定めて行けば良いと思います。その流れの中で中長期的には米ドル暴落の可能性は十分にありますし新規通貨への切り替えもありえるでしょう。
シリーズ【ドル崩壊】はコチラから
1. 「米ドル暴落」は本当に起きるのか?
2. ドラえもんで考える米国デフォルトと米ドル
3. Word、Excel、PowerPointで考える米国デフォルトと米ドル
4. 歴史的な円高の嘘、そして世界基軸通貨ドル