もう暫くの間マスクの着用をお願い致します。
あれですよ。
嶽本野ばら氏のロリータ世界観が全てに詰まっている。
みて、ほら。
レースのエンボス加工。
横から。
表紙をめくったら。
ピンクの糸かがり製本。
紙の本は楽しいのだ。
デジタルには出せない味なので無くならないで欲しい。
単行本は表紙を外してみると意外な仕掛けがあるものも多い。
部屋の邪魔にはなるけれど、なるべく単行本を買うことにしている。
手袋して触ろうと思ったくらい嶽本野ばら氏のロリータ愛に満ちた本。
偶然開いたページはCOMME des GARÇONSについて書いたものでした。
COMME des GARÇONSについてはロリータ括りではなく、お洋服大好きな著者のメゾン(ブランド)に対する視点でした。
喧嘩売ってんのか、コラ?
と思う箇所もありながら、激しく同意する部分もあり。
耳が痛い記述もありました。
ファンであっても「ん?」と思うコレクションやブランドラインがある。
けれど「言ってはならない」気がして口をつぐむ。
それを踏まえた上でのエッセイであること。
オメーラとは背負ったフリルの数が違うんだよ
作家&お洋服愛好家の覚悟を感じました。
服ブランドも商売。
ポリシーを貫き素敵なものを作っていても商売下手で消えていったブランドを沢山みてきた。
かと言ってビジネスを感じ過ぎると冷めてしまう人もいるでしょう。
ブランドラインというのは、COMME des GARÇONSで言えば
①COMME des GARÇONS(コレクションとして出している本道・奇抜)
②COMME des GARÇONS・COMME des GARÇONS(日常着として着られる服)
③COMME des GARÇONS GIRL(ガーリーだけど値段は大人)
④BLACK COMME des GARÇONS(過去の復刻版でユニセックス)
⑤PLAY COMME des GARÇONS(目のロゴで有名。インバウンドのお土産品となっている)
⑥CDG(通販出来るシンプル&カジュアル。こちらもお土産用)
以上、社長がデザインしている婦人服のライン。
①②を買っていて、たまに③を買う。
青山本店には①②③しか置いていない。
ビジネスは尊重している、むしろ尊敬している。
しかし④⑤⑥を買うのは私が私に許さない、みたいな所があります。
そこをちゃんと書いているのが凄い。
先日、カラフルマフラーで有名な「松井ニット技研」の廃業のニュースがありました。
どこかで目にしたことがあるのでは?
松井ニット技研の廃業は「技術継承者がいない」ことでした。
織り機の操作がそうとう複雑で、引き継がは年単位。
立候補者はいたけど技術者が高齢なので「最後まで教えきれない」というビックリな理由でした。
元々は鮮魚商だったんですって。
「もっと前から探しておけば良かったのに」の声もありますが、引き継ぐつもりはなかったのかも。
生地や素材を作れるメーカーが年々減っていること。
デザインを型紙にするパタンナーも不足していること。
流石に生地から作るとなるど膨大な時間と人件費、全てがコストになっていく。
コストは値段に反映される訳ですからビジネスとしては成立しづらいですよね。
昔の服と今の服が違うのは致し方ない。
この歯痒さを実感しているのは作っている側だと思う。
嶽本野ばら氏はCOMME des GARÇONSは可燃ゴミに出し、MILKやJean Marpleは保管していている。
それは礼儀だそうです。
毎シーズン、コンセプトを変えるので、過去は捨てるという考え方もあるのかな。
流行と無縁のブランドなので私は20年前の服も着ている。
好きだからこそ各々が一家言持っている。
どこから眺めるかによって見え方も変わるんだな、って思いました。
あとがきに「出禁になりたくないので忖度しているブランドもある」と書いてありました。
その気持ちは分かるし、わかった上で読むよ。
このカテゴリーは彼が書くのが一番だろう。
そして国書刊行会から出ている、というのもミスマッチのようなベストマッチのような。
よくぞ出した!の一冊です。
PINK HOUSEのように凄く偏っている服のスタッフは自社洋服愛が強い。
それも込みで買っているので捨てられない派です。
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