このギター。軽いし、ネックも薄くて弾きやすいんですけど音の特徴として倍音が少なめで結構硬い音がします。現代の解釈で言う「モダン」というとちょっと違いますが、90年代のデジタル機材が多用された音楽シーンに生まれたギターなので、エフェクターのノリを良くするためにあえて味付けの少ない淡白なトーン設計がなされていると考えます。
私はフェンダー的なちょっとしたラフさのある音を好むので、新しくストラトを購入したタイミングでこのギターは弾かなくなってしまいました。手放すことも考えましたが、なんだかもったいないんですよね。だってシェイプがかっこいいんだもん。
弾かなくなった最大の原因は「音」にあるわけですが、そもそもギタートーンの設計が異なるので音楽によって使い分ける他ないんですよね。
そうなると、現在の「アンプとギター主体の音作り」から「エフェクター主体の音作り」に切り替えるという努力が求められるわけですが、そもそもそれが出来てれば弾かなくなることも無かったはずなんですよ。
ということでね、今回はMG-MⅡの硬いトーンを、より暖かみのある音に改造することで自身の音楽にも使えるように解決したいと思います。
1.音が硬い原因
そもそも、なんでこんなに音が硬いのよということですが、推定される原因は以下2点
(1)セラミックピックアップ
MG-MⅡに搭載されているピックアップはYAMAHAのFOCUS(LIVE-GH1でした;)と呼ばれるピックアップです。リアとフロントはセラミックのハムバッカー(アルニコでした)なっており、アッサリしております。
また、センターのシングルコイル(アルニコ)に関しては空間系のエフェクトをかけたかのようにクリーンがキレイに出音されますね。歪ませてもキレイなんですが、全体的にさっぱりしており、アルニコピックアップにあるような聴きなれた暖かみは抑えられ、クールなトーンとなっています。
(2)FRTユニット
RMP2(ロッキンマジックプロ2)と呼ばれるYAMAHAの独自機構です。通常のフロイドローズと異なり、ボールエンドを切らずに裏通しで弦を張れるユニークな機構になっています。
FRTユニットはシンクロナイズドトレモロユニットよりも重量があるため、弦振動がボディに伝播しにくく、ボディ振動が弦振動に与える影響も少なくなり、倍音構成が単調になりやすいです。また、サステインが長くなり、ドンシャリで弦鳴り感が強い傾向がありますね。
そのため、FRT搭載のギターのボディ材は振動しやすい軽い木材との相性が良いと言われています。ちなみに、MG-M2には軽いバスウッド材が用いられています。
2.ボディ振動を増やす
ということで、ピックアップ、FRT等のハードの特性上、硬い音になるのは既定路線であることが分かりました。順当にいくと、これらを交換する発想となると思いますが、それだと予算のハードルが高いんですよね。そのため、よりイージーな方法でボディ振動を増す改造を施す方向で検討します。
(1)リフィニッシュ
はい、全然イージーではありませんね。今回、塗装をポリ塗装からオイル塗装にリフィニッシュします。ネオンライトグラフィックが日に焼けていて汚いというのもありますが、オイルフィニッシュの狙いとしては本体を軽くしてよりボディ振動を強化することですね。
通常、軽いバスウッド材へのオイルフィニッシュは輪郭がぼけて締まりのない音になりがちと言われますが、FRT搭載によって既に音が硬いので、これでつり合いとれるんじゃないかな?と考えます。
(2)トレモロスプリング
FRT用のトレモロスプリングは硬めに作られています。硬いスプリングというのはスプリングが響きにくいので倍音構成が単調になり、音を硬くする要因の一つであります。
そこで倍音豊富で響きの強いRaw-Vintageのスプリングを搭載します。通常、ビンテージタイプのストラトに搭載するのがセオリーですが、FRTタイプに使っても面白いんじゃないかな?
(3)配線材
ローファイなクロスワイヤーか、ハイファイなOFC線材。どちらにするか迷います。
ザラっとしたストラト的に使うならクロスワイヤー一択ですが、今回はHSH配置のハムバッカー主体のギターです。帯域をミッドに寄せて暖かみのある音を出したい(クロスワイヤー)という思いと、改造によって増えた倍音の見通しよくしたい(OFC)という思いが交錯します。
色々考えたんですけど、もうフロイドローズ積んでる時点で、ストラト的な暖かみのあるトーンにならないのだから、ストラトに無理に寄せようと考えない方が良いんじゃないかなと思うのです。
音の情報量を増やし、その一つ一つを聴きとれるようにOFC線材(102SSC)にすれば当初の目的は達成できるんじゃないかな?ということろで構想はこんな感じで!
おしまい☆