地球の上に

 

踏まれれば簡単に倒れる様な

小さいか弱い緑が

光と水と風を吸って

根を張って

樹々になった

 

命は

辛抱強い

 

戦争を見たこともある

大きな大きな木

 

 

戦後は空襲で焼けた大地の上で復興した

街と人が焼けて倒れ黒くなった土が

もう一度

都会になり

人はその街の中に 小さな森も作った

 

地球の創った命で出来た完璧な緑の建築物を

人の歴史がまた育てたのだ

 

 

何処から来たのか

大きな木 

それは日本中からやって来た

遠くのサハリンからも来た

電車に乗って

森になりに集まった

 

 

神宮外苑と内苑の樹がそこにあるのは

無数の人格と歴史である

人間がそう生きているのと同じに

個の命に

新しい木で賄うという代えが利かない

 

 

自然と言う歴史が人のコンクリートの都と共生してくれていて

そこで生きる人を守っているその姿を

北極に住む白熊たちが氷がなくなって食料を探せずに途方に暮れて海を見ているほど

地球が大きな気候変動の危機にある現代の人類が解らないわけがないのに

 

無節操な計画は都の代表者と利権を望む人の手の中で生まれた

 

 

音楽活動と共に政治に物を言う事を

特に生涯の後半いとわなかった作曲家が死の間際に都庁に手紙を書いて

 

世界の主要都市でも今樹木はとても大切にしようとされている事

東京を「都市と自然の聖地」と位置づけ、そのゴールに向け政治主導をすることこそ、世界の称賛を得る事

むしろこの機会に神宮外苑を日本の名勝として指定し

今生えている1000本の木と言う世界的な文化遺産を未来永劫守る事は

政治家の生命の役割だ、と言い遺した

 

 

 

彼の言葉は一旦は現都知事により心無く踏みにじられ

けれど今

もう一度大樹の苗木になろうと

東京の都知事選挙の七夕の空を見ている一人ひとりという小さな民主制の手を持つ人びとの選択の中に葉を広げている