『アンオーソドックス』 超正統派ユダヤ教徒女性の抵抗と解放の物語 ♬ | ☆ Pingtung Archives ☆

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60代おばちゃんの徒然です。映画やドラマ、本、受験(過去)、犬、金融・経済、持病のIgGMGUSそして台湾とテーマは支離滅裂です。ブログのきっかけは戦前の台湾生まれ(湾生)の母の故郷、台湾・屏東(Pingtung)訪問記です。♬マークは音楽付き。

Netflixってステキ・・・

今度はアメリカ・ドイツ合作。全編イディッシュ語で制作されたドラマ。

全4話(1話は約50分)。いっきに観れます。

いいドラマです。

 

あらすじ(@DIMEより)ネタバレあり

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ニューヨークの超正統派ユダヤ教社会で祖母と叔母に育てられた、エスティ(シーラ・ハース)。

ドイツ系だったエスティの母親は、ユダヤ教社会での超保守的な生活に耐えきれず離婚し、エスティを置いてドイツに移住していた。

18歳になったエスティは、コミュニティ内の男性とほぼ強制的にお見合い結婚をさせられる。

夫のヤンキーは、敬虔なユダヤ教徒であり、真面目で保守的でおとなしい性格。夫婦としての一対一の繋がりよりも、家族親戚やユダヤ教コミュニティ全体における関係性を重視している。

一方エスティは、規則が多く常に監視されているユダヤ教社会に、ずっと息苦しさを感じていた。

唯一の楽しみであるピアノ教室も自由に通うことができず、YouTubeも禁止。夫とも精神的・肉体的結びつきを感じることができない。

自分を捨てて自由な人生を選んだ母親に反発していたエスティだったが、結婚から約1年経った19歳の時、意を決してユダヤ教社会から逃げ出す。

エスティが向かったのは、憎んでいた母親の故郷・ドイツだった。

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舞台はブルックリンのウィリアムズバーグにあるハシディックのコミュニティー。

ハシディックとは、ユダヤ教の教典とされるトーラーを忠実に守って暮らしていることから、「超正統派(ウルトラ・オーソドックス)」と呼ばれるユダヤ教の一派のこと。

この一派、かなり自由が制限されていることで知られています。

 

例えば

 

☆女性は結婚したら剃髪せねばならず、しかも外出時はスカーフやウィッグで頭を隠さねばない

 

 

 

☆男性はもみあげを伸ばして縦巻き(カーラーで)。服装は黒帽子、黒コート、黒ズボン


☆結婚は親が決める(お見合いを経て最終的には男性に決定権があり、女性にはない)
☆性生活はコミュニティ繁栄のためのおつとめ

☆女性は音楽禁止

☆インターネット禁止
☆NYでもイディッシュ語が基本


全編に溢れるリアリティは

 

- ヒロイン役はイスラエル出身のシーラ・ハース

- 俳優やエキストラの多くが、ハシディック・コミュニティの出身者

- 同コミュニティ出身でイディッシュ語の専門家であるイーライ・ローゼンがラビ役で出演し、台本の翻訳、演出のアドバイス、出演者の指導を務めた

 

などによって実現された。

 

物語の展開とともにヒロインの服装も変化する。

それが解放の度合いを示唆しているように見える。

 


 

女性の自立や解放の物語として見ると、ハシディックの風習はネガティブに映る。

 

そもそも、このコミュニティが今日のブルックリンに存在していること自体が一種の奇跡。

 

けれど一見歪んだ戒律は、人類の歴史、特に虐げられながら世界で生き延びたユダヤ人的には「有り」だったのではないか。

 

ハシディックの質素で清潔で純粋な暮らしぶりにある種の憧れを覚えたことも確か。

 

日本だって、つい最近までハシディックとそう変わらない社会だったし、今だって形を変えたハシディックと言えなくもない。

 

ドラマを観ながら、友人のことを思った。

エスティと同じように、ブルックリン出身(ハシディックではない)のユダヤ人女性だけれど、はるかに恵まれた道を歩んでいる。

 

アメリカは広い。

 

 

(Netflixより)

Making映像

 

 

エスティがオーディションで歌った歌