連絡船を降りて、漁協の敷地内の工場を通り過ぎると鄙びた道となってしまい、うねうねと島のあっち側までへ延びる。
二十分も有れば、島を横断できる。
ゆっくり歩きながら島の生活を想像してみた。
校庭に、二宮金次郎の像があった。
薪を背負いながら本を読むその小さな後姿に、なぜか涙が出た。
お皿を洗いながら日本語の単語帳を洗い場の壁に貼って暗記した日本語学校時代のあれこれを思い出した。
若かったよ。
誰かが好きになってしまったら、美しい日本語で告白したいと密かに思い、素敵なむつ言をたくさんノートに書き写し、一句一句暗記したあの日あの時。
結局、日本語で愛の囁きを一回も必要はなかった😅
凄い歳になったデブオバサンは今生、
せっかく暗記した素晴らしい言葉を誰かに宣うこともないまま忘れてしまうのだろう。
冬の海岸が寒かった。
最終便連絡船を待っていたら、広がる無人の灰色砂浜で声を上げて泣き出したよ。
最近、脆いの😭
爽快に泣いた
息抜きみたいに泣いた
理由なんかいらない泣きだった。
所縁ない離島で思わず泣けて良かったよ。
泣けるから、当然!
ひときわ輝く笑顔にもなれる。
暮らしは守ってくれる人の些細な気遣い、支えてくれる千年の風習によって彩られるのね。
折々と離れてゆく愛する人たちをただ、心の中でそっと手を合わせるしかできないけど
思い出しているその瞬間、
デブオバサンのしょぼくれた毎日も一瞬新鮮!
一飲一啄 聚固欣然
一関一驛 散亦可喜