肥大型心筋症の息子は1日3回、心臓の薬を飲んでいます。
インデラル(ジェネリック名 プロプラノロール)という薬で、専門的なことを言うとβ遮断薬の一種。
分かりやすく言うと、心拍数を抑えて心臓の負担を軽くする薬です。
治すために飲む薬では無く、悪化を防ぐための薬です
お昼の薬はこども園にお願いしています。
担任の先生は基本的は与薬をせず、主に看護師の先生が担当して下さっています
でも、1人の先生にお任せすると、その先生がお休みの日に困るので、看護師の先生3人・園長先生・主任先生の計5名が息子に薬を飲ませることができます。
(保育士は与薬ができないというルールは無いので、いざなったら担任の先生でもできると思いますが、業務上の役割分担でこうなっています。)
最初はいろいろ心配して、細かいマニュアルを作ったりもしましたが、いろいろなケースを想定して相談したので、今は何も心配していません
昨年度3歳児クラスだった時は、看護師の先生が椅子を用意して、お茶を用意して、息子は座って待っているだけでした。
4歳児クラスに進級し、椅子とお茶の用意は自分でやるように変わったそうです。
そして、最近は給食を食べ終わり、お皿の片付けが終わったら自分から先生に声を掛けるようになったとのこと
タナカ先生のところに行き、(看護師の)アマノ先生を呼んでほしい、と言葉で伝えるようになったとのことです。
その後、タナカ先生が職員室に内線で連絡し、薬を持ったアマノ先生が登場します
息子は割とルーティンに強い子で、毎日繰り返すときちんとできる子です。
逆にイレギュラーがあると忘れちゃったり、言えなくなったり
ある日、タナカ先生がお休みだった日、他の先生には言えなかったようで、なかなかアマノ先生のお呼びが掛からなかったそうです。
その時は他の担任の先生から息子に声を掛けたんだか、時間を見てアマノ先生が察して教室まで来てくれたのか…ちょっとよく分かりませんが、翌日その話を聞いて、タナカ先生は考えました
(タナカ先生の心の声)
💭慣れた環境の中では自己申告できるようになってきた。
でも、私が休みや不在の時もあり、常に同じ環境の中で薬をお願いできるかは分からない。
どんな状況でも、誰にでも薬をお願いできるようにならないと💭
ある日、息子がタナカ先生に「アマノせんせいよんでください」(と言っているのかは分からないけれど)と言う前に、たまたま用事があってアマノ先生が教室まで来ていたそうです。
息子がタナカ先生のところまで言って
「アマノせんせい、よんで…」
と言おうと思った時、すでにアマノ先生がそこに来ているのを発見
そのまま薬のことをお願いしたらよかったのに、少し動揺した(?)息子は固まってしまったそうです。
タナカ先生が
「息子くん、次は何をするのかな?」
と声を掛けると、息子は
「えっと…おひるねのじゅんび?」
と混乱して答えたそうです
タナカ先生は何も言わずにひとまず見守り。
アマノ先生はわざわざ職員室まで戻って下さり、その後ようやく息子は
「くすり…」
とタナカ先生に伝えられたそうです。
アマノ先生再び登場。
二度手間ごめんなさい
イレギュラーが少し苦手な息子。
でも、こんな感じでいろいろはパターンがありうるわけなので、これからタナカ先生は時にイレギュラーな場面をわざと作ってみようと思っています。
と、とある日、私に教えて下さいました、
給食の後、わざとタナカ先生が教室から離れてみたり、隠れてみたり、いつもと違う先生に教室にいてもらったり。
「どの先生にも、どんな状況でも、自分から伝えられるようになることが大事ですよね」
とタナカ先生はおっしゃっていました。
いや~驚きました。
正直、薬はちゃんと飲んでくれればそれでいいと思っていて。
むしろ、園の先生に手間がかからないよう、最小限の負担になるよう、気を遣っていました。
(でも先生方は息子の薬に対して「大事なものだから」「息子くんにとっては日常のことだから」と薬を快く預かっていただいています)
それなのに、服薬を教育的観点でも考えて下さっているということに、少なからず感動を覚えました。
タナカ先生、普段は口下手と言うか、人見知りなタイプなので、あれこれ積極的に話すタイプではありません。
でも、考え方がすごすぎる。
昨年度、「私はずっと未満児クラスの担当ばかりしていて、幼児クラスの担任は久しぶりなんです。」とおっしゃっていましたが、いやいや、年齢に合わせてここまで対応できるなんて、幼児クラスめちゃくちゃ合ってると思います
こども園は、保育園と幼稚園の機能を併せ持っていて、先生は「保育士」と「幼稚園教諭」の資格を合わせた「保育教諭」という資格?の先生が多いんです。
普段、保護者の立場では「保育」とか「教育」とかそこまで意識はしていません。
それに保育園であろうが幼稚園であろうがこども園であろうが、園や先生によって考え方や方針が異なるのは当然だと思います。
それでも、病気とともに生きていく息子に対して、生活の一部と捉えて対応していただけているのは、とても嬉しいことでした
そのうち反抗的になったり、自分から伝えるのを忘れたり、いろいろなことが起きるとは思います。
それでも、家庭で親以外から薬を飲ませてもらう練習にもなるし、自分で意識を高めるチャンスにもなるし、本当にありがたい
ここまで考えてもらえているとは思わず、とても嬉しかったです