息子は肥大型心筋症という心臓病です。
確定診断に至るまでのお話です。

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10月17日(木)
心臓のY先生(正確には小児科の循環器科の先生)から、息子の心臓についての説明日。
「ご両親揃って」と先生から言われていたので、夫とGCUで待っていた。

GCUで主治医の先生からお話がある時は、いつもベビーのベッドサイドなんだけど、この時は別室の、面談室に連れていかれた。
担当看護師のSさんも同席してくれた。

肥大型心筋症という病名は前日に聞いていた。
なので、病名を告知されるという緊張感は無い。
ただ、分からないことはたくさんあったので、ようやくいろいろ聞けるのか、という思い。
心臓の絵と、現在の症状をプリントにまとめてくれて、渡された。


正直なところ、紙を渡されたのはありがたかった。
左心房とか、左心室とか、昔学校で理科?生物?保健体育?の時間に習ったけれど、心臓のことなんて考えたこともなかったし、完全に忘れてる。言葉で聞くだけじゃ理解できない。

肥大型心筋症は、心臓の下半分にある右心室と左心室の周りの壁(心筋)が特に分厚くなっているという病気。
とりわけ、左心室は全身に血液を送り出すいちばん大きなポンプの役割をしている部屋だから、ここが特に大事みたいです。
心筋が厚くなっているために、左心室が少し狭くなっている。

息子の症状としては
○僧帽弁逆流(軽度)
     左心房から左心室へ流れる血液が、左心室が狭くなっているために僧帽弁がうまく閉じずに少し逆流している。心雑音の原因。

○左室流出路狭窄(軽度)
     左心室から大動脈に出るところが狭くなっている。

今は軽度だけれども、進行すると心不全(赤ちゃんの場合は、多呼吸や哺乳不良、体重増加不良など)や不整脈を認めることがある。

進行するのを防ぐために、β遮断薬(βブロッカー)を導入。(前日から飲み始めた薬)

肥大型心筋症の予後は様々で、緩慢に進み、あまり症状を認めない人もいます。急激に進行したり、急変することもあります。
(以上、先生からいただいたプリントの内容と説明をまとめたもの)

インターネットで、事前に調べた時に、わかりにくいなと思ったことも、先生の説明ではよく分かった。

うちの息子の場合は、今は特に症状が出ていない状態なので、普通ならこんな小さい時には見つからず、もう少し大きくなってから学校の検診とかで心雑音などで引っかかって、見つかるような症状らしい。
たまたま大学病院のGCUに入院していて、普通の赤ちゃんより細かく検査をしてもらえたために見つかったんだそうです。

長い目で見て、例えば運動しちゃいけないのか、とか、生活上の制限とか、聞きたいことはいろいろあったけれど、とりあえず当面成長していくのに、聞きたいことは2つ。

①「泣かせてはいけないの?」

看護師さんとかに、あまり泣かさない方がいい、って言われたりしていたから、実際のところ、どうなの?

Y先生「そうは言っても赤ちゃんは泣くからね。泣かせすぎは良くないけれど、絶対泣かせたらダメだと神経質にならなくても大丈夫。」

②「肥大型心筋症って治るの?」

Y先生「治りません(今のところは)。薬も一生飲んでいくものです。」
 ※妊娠糖尿病だった場合、一時的に心肥大する場合があるようで、それは治ることもあるみたいだけど、私は妊娠糖尿病ではなかった。

ということで、当面の治療としては、毎日薬を飲みながら、こまめに心エコーなど検査をして経過観察。
しばらくは月に1回くらい、症状が落ち着いているようならば3ヶ月に1回の通院。薬は最長3ヶ月分しか処方できないので、それ以上通院を空けることはできない。

だそうです。

前日、いきなり薬の治療を始めることになって、気持ちが焦ったけれど、思ったほど深刻な状況ではないようで、よかった。

ただ、「一生治りません。」と言われたことは、やっぱりショックで、気持ちが重くなっちゃったな。

先生は
「いきなりで分からないこともたくさんあると思うから、いつでも聞いてください。ボクはいつも病院にいるわけじゃないけれど、看護師さんにでも聞いてくれたら、伝えてもらいますんで。」
と気遣って下さった。

先生との面談後、看護師のSさんが心配して
「ママ、大丈夫?ちゃんと質問とかして偉かったね。」
と声をかけてくれた。

この時の私の気持ちとしては、思ったより大丈夫、だった。もっと激しく落ち込んだり、ショックを受けたりするかと思っていた。
まぁ、事前に病名知っちゃっていたからさ。

そして、同時に、Sさんが心配してくれているのが、痛いほどよく分かったから、心配かけたくないな、って気持ちもあった。

GCUにはたくさんの赤ちゃんが入院していて、ほとんど誰とも交流はなかったけれど、たくさんのパパママが面会に来ていて、みんな一生懸命。
早く赤ちゃんをお家に連れて帰りたいって思ってる親も、病気を抱えて不安な親も、早産で産んでしまってごめんねって思っている親も、きっとたくさんいるでしょう。
心の中でいっぱい泣いてるママもいると思う。
でもGCUでは、赤ちゃんもママもパパも、みんな頑張ってるんだよね。
先生や看護師さんが一生懸命、治療やお世話をしてくれてるんだよね。

だから、私だけが弱ってるわけにはいかない、と思ったんだ。

あ、ひとつ安心したことは、前日Y先生が小児病棟に移るとかいう話をしていたけれど、そのことは何も言ってなかった。
当面はGCUにいられるんだなと、変に安心したことを覚えています(笑)。