なかなか嗅覚が戻らず、憤懣やる方ないので、今回は米国大統領の相互関税をめぐるやり方を見ていて気づいたことについて。
このようなことが連日報じられています。
1.デタラメな算出法によって決められた関税率を各国は押し付けられた。
2.真の狙いとされる中国は「やるなら最後まで相手する」と意気軒昂。
3.担当大臣を急派した日本。トランプ自らが突然登場し、かつ「日本は最優先」と言われて…。
1については、諸専門家が指摘し、批判しています。実際、中国に次ぐ「脅威」に該当する高関税を設定されているのがアフリカの小国なのだとか(トホホ)。
2についていうと、中国の対米貿易依存度に比べてアメリカの対中貿易依存度は格段に高いため、中国製品のアメリカ国内での競争力が落ちれば落ちるほどアメリカが困るという「不都合な真実」があるのに、トランプはそれを理解していないと言われています。周りの経済ブレーンは何やってんだよと思いますが、第一次トランプ政権にいた人の手記によれば、ホワイトハウスや政権の面々は連日トランプのご機嫌うかがいに必死で、直言・諫言する人間は皆無とのこと(嫌気が差して政権を去った人には想像を絶する誹謗中傷が加えられるそうです)。
で、問題は3ですが、私はこの報道に接し、トランプが北朝鮮の金正恩と相通じる(「恋に落ちた」だの、「ラブレターを交換した」だの「相思相愛」だのとありましたよね)のもむべなるかなと思いましたね。相手が予想しないことを突然やって感激させ、自分のペースで事を進める。これは北朝鮮「伝統」の外交戦術です。日本の大臣は、トランプの「温かい配慮」「格下と会っていることを感じさせない器の大きさ」に感激したという主旨の発言をしています。
その昔、訪朝して金正日に面会した韓国の政治家が「器が大きく豪放磊落で頭脳明晰」云々と激賞していた姿を彷彿とさせます。こうして韓国内で北朝鮮への好意的世論を醸成し、北朝鮮は「外交的勝利」とほくそ笑み、実利を得るわけです。当時、脱北した最高幹部(故人)の方に話を聞く機会がありました。曰く、「金正日が器が大きくて豪放磊落?そんなの当たり前じゃないか。独裁者なんだから」と笑っていたことが思い出されます。
要するに独裁者なんですね。米国大統領が今そうだとはいいませんが、独裁的権力を志向していると言われていて、実際、いろんなことを独裁的にやっていますよね。そして本人によれば、金正恩と波長が合うらしい。ついでに習近平やプーチンとも気が合うだの尊敬するだの…共通点は明白です。
政権離脱も近いと噂されるマスク氏ですが、彼の強引なやり方について、トランプに「気に食わないヤツはいるか?」と聞かれた閣僚たちはただニヤニヤしながら拍手するというグロテスクな映像が以前流れていました。アメリカが北朝鮮化している!と思ってしまいましたよ。
このような相手に対峙する際の要諦は何か。相手を刺激しないようにするあまり、ひとたび譲歩すると、ナメられてさらに譲歩を迫られ、結局身ぐるみ剥ぎ取られるのがオチ。つまりナメられないことが重要じゃないですかね。軟着陸のためには譲歩も必要なのでしょうけど、日本の外交・経済交渉担当の方々には是非とも強気で(だって理はこちらにあるでしょ?)交渉に臨んでもらいたいです。