今日はどんよりとした曇り空
夜遅くから 雪 が降るかもです。
早く帰宅するです
さて、
交通事故などにより損害を負ってしまった場合、
その損害の算定は、どのように考えられているのでしょう
この点、 内田貴先生の 民法Ⅱ (東京大学出版会) が詳しいので
みてみましょう。
【 事 案 】
Yが駅のプラットホームで、ゴルフの素振りをまねて振り回したカサが、Xの手にぶつかり、Xは、左手の小指を負傷して軽い神経障害が残った。
【 考 察 】
損害賠償の対象となる損害には、
精神的損害 と 財産的損害
がある。
上の事例で、 Xの苦痛に対する損害賠償が精神的損害であり、
慰謝料とも言われ、これは認められる。
他方、財産的損害には、
積極的損害 と 消極的損害
があり、 これらの区別は厳格にする必要はないが、
一般的に、
治療費のように現実に支払ったものを積極的損害、
不法行為がなければ得られたであろう利益を消極的損害
としている。
つまり、
精神的損害
財産的損害 ( 積極的損害 ・ 消極的損害 )
となります。
このうち、消極的損害は、逸失利益ともよばれます。
上記事案で、 Xの職業が、会社員である場合、
収入減は全く生じていない。
一方、Xがピアニストである場合には、小指の神経障害は、
ピアニストとしての労働能力を事実上喪失させ、
莫大な逸失利益が生ずる可能性がある。
ここで、内田先生は、
「 会社員であるXについても将来小指を使う業務に従事する可能性は全く否定出来ない以上、現実の収入減がなければ消極的損害はゼロという判断は、やや硬直的である。場合によっては賠償の対象とする余地を残す法律構成を採用すべきである。 」
と述べられ、業務に支障がないから逸失利益は ゼロ
とすべきではない、 とされています。
この記事は、
交通事故の等級認定においてとても重要
であり、逸失利益算定の根幹 となります。
最高裁は、 (最判昭和42年11月11日)
「 後遺症の程度が比較的軽微であって、しかも被害者が従事する職業の性質からみて現在又は将来における収入の減少も認められないという場合においては、特段の事情のない限り、労働能力の一部喪失を理由とする財産上の損害を認める余地はないというべきである 」
と、逸失利益の賠償を否定しているものの、
「特段の事情のない限り」 と留保を付け、
場合によっては損害を認める余地がある、と示しています。
交通事故により、上記例のように小指に後遺障害が残り、
ピアニストとしての職業が続けられなくなった場合、
自賠責保険について被害者請求をします。
小指が全く用をなさないような場合、
等級としては 13級 となりますが、
ここで重要なのは、きちんと等級認定しておく
ということです。
それは、その後の仕事が出来ないことを補償する
逸失利益は、自賠責保険では到底まかないきれないけれど、
その後の損害賠償請求が、より有利に進められるからです。
保険会社を相手にする損害賠償請求では、
自賠責保険から得た等級は、とても大切な証拠となります
参考文献 民法Ⅱ 内田 貴著 東京大学出版会