「白き狼の息子 (永遠の戦士 エルリック 7)」 マイケル・ムアコック | ロードバイクを待ちながら

「白き狼の息子 (永遠の戦士 エルリック 7)」 マイケル・ムアコック



何年もかけてちびちびと読み続けてきた「エルリック・サーガ」の最終巻。

タイトルにある「息子」はなぜかほとんど登場しないで、物語の半分はひ孫の女の子ウーナちゃんがキツネの紳士と冒険する話に。

とはいえ、老いたとはいえムアコック大先生の小説なので、20世紀と21世紀のヨーロッパ、なぞの地下世界、など時空をこえた多元宇宙(マルチバース)の冒険の物語です。

後半はグランブレタン帝国というイギリスとナチスドイツを一緒にしてスチームパンクにしてみました、みたいな悪の大帝国との戦いになり、最後に例によってエルリックと魔剣ストームブリンガーが再会します。一応、エルリックサーガはこれでおしまいらしいです。

このエルリックサーガは最初の話が出版されたのが1963年で、最終巻のこの話が書かれたのが2005年なので、なんと40年以上かけて書かれているのです。著者のマイケル・ムアコックは現在75才でまだお元気なようです。この本のあとに2010年になぜか"Dr Who"の小説を出版しております。

エルリックサーガは最初は古代の帝国の白子で虚弱体質で性格の暗いエルリック王子が魔剣ストームブリンガーとさ迷いながら冒険(というか無意味な殺戮)をしていく話だったのが、段々と多元宇宙の話になり、比較的最近かかれた最後の三巻は舞台がナチスドイツだったり開拓時代のアメリカだったり、21世紀の欧州だったりしています。思えば遠くにきたものです。

このシリーズはさらにムアコックの他のシリーズと重なっていて全体として「エターナル・チャンピオン」シリーズとよばれています。 そういうのは他の作家でもよくあるのですが、ムアコックの場合、単に登場人物がゲスト出演する、とかではなくて、各シリーズのヒーローが実は多元宇宙的には同一人物である、というわかりにくい設定になっています。

作風として、いろいろなことを曖昧にほのめかすだけなので、論理的にはまったくつながらないのです。この本でも、私は主人公ウーナとエルリックの本当の親族関係が理解できなかったです。

さて、このシリーズを読みおわって、グランブリタン帝国がでてくる「ドリアン・ホークムーン」シリーズ (ルーンの杖秘録、ブラス城年代記)を読もうとおもったら、ムアコックの本はこのエルリックサーガ以外ほとんど絶版ではありませんか。どこかで探してこなければ。