「生命の起源 地球と宇宙をめぐる最大の謎に迫る」 ポール・ディヴィス | ロードバイクを待ちながら

「生命の起源 地球と宇宙をめぐる最大の謎に迫る」 ポール・ディヴィス




出たばかりの本で、書店に積まれていてちょっと気になったので買ったら面白くて一気に読んでしまいました。

DNAとタンパク質の組み合わせでできている生命の基本的な仕組みは一体どうやって出来上がったか、という疑問に様々な角度、学説、発見をもとに迫る本です。

なんとなく漠然と、原始地球に単純な有機分子と水と太陽の光とがあって、そこから最初の生命が発生した、というようなことを思っていたのですが、どうもそんな簡単なことでは無いようです。

現在知られているもっとも古い生物である「古細菌」は地中深く、高温で空気もないような環境で生きていたらしいのです。そして今も地球の生物の大半はこの地中にいる「古細菌」らしいのです。

そしてこの古細菌から人類にいたるすべての生物は全く同一のDNAの塩基3個のコードからタンパク質を合成する仕組みで成長・増殖・新陳代謝をしているのです。

このDNA暗号を使った生命の仕組みは極めて複雑で多数の分子が正確に協調して働かないかぎり動作できないのです。だから、原始時代の有機分子入りスープを何億年もかき混ぜてもそれがたまたまできたとは考えられないのです。

これがまだ解明されていない「生命の起源」問題です。

著者は宇宙物理が専門らしいので、ここで話が宇宙の話になります。

火星に生命はいたか、(あるいは今もいるか)、という話になります。1990年代に火星の破片と思われる隕石から生命の痕跡(バクテリアの化石のようなもの)が発見された、というニュースがあって、現在もその正当性が議論されているのです。

古代の地球の熱い地中深くに生命が発生できたら、火星でもその可能性はあるかも知れないのです。太陽系がまだ若かった数十億年前は地球にも火星にも大きな小惑星が時々衝突して惑星全体を激変させるようなことが起こっていたのですが、もしそのころにすでにバクテリアなどが発生していたら、その破片にのって生命が地球と火星の間で伝搬していた可能性すらあるのです。

だから、地球の生命は火星のバクテリアに期限がある可能性もあるし、逆に地球のバクテリアが火星に飛んでいって火星の生命の起源になった可能性もあるのです。

さらに言えば、太陽系外から飛来したバクテリアが生命の起源かもしれないのです。

では、その地球上ではないどこかで生まれた最初の生命はどうやってDNAの仕組みを獲得できたのか?謎は深まる一方です。

いずれ、火星かあるいは別の惑星・衛星上でバクテリアのような生物が発見される日が来るでしょう。そのとき、その生物が地球生物と同じDNA暗号を使っているか、ことなる方式なのかがわかるでしょう。その結果はどっちであっても、我々にとっておおきな哲学的認識の変更を迫ることになるでしょう。

というような壮大な物語に思いを馳せる一冊です。


最近、WOWOWで「スタートレック」の映画を全部順番に放送しているのですが、あの世界ではどの文明の種族(人類、クリンゴン、バルカン、ロミュランなど)もおなじ空気を吸い、同じものを食べ、ときどき種族間結婚までしているので、間違いなく宇宙全体の生命が同じDNA暗号から生まれた、という説をとっていると思われます。(それにしてもなんでみんな英語しゃべるのか。)