「台湾海峡一九四九」 龍 應台
1949年に、様々な形で中国の内戦(国民党軍対人民解放軍)に巻き込まれて台湾に逃れてきた人たちを中心に様々な人々の体験談の聞き書きをつなげていった本です。膨大なインタビューを台湾、中国、香港、日本、アメリカ、ドイツでおこない、それを並べていくことで、この時代に台湾に渡ってきた「外省人」がどのような経験をしてきたかが浮かび上がってきます。
過去を語るのは、国民党の敗走とともなって五千人の集団で各地を人数を減らしながら転々とした高校生の集団や、訳もわからず兵隊にされ、捕虜にされ、いきなり敵方の兵隊に次の日がらされた若者、台湾で日本人として日本軍の一部として日本軍の捕虜収容所の守衛として中国から送られてきた中国人を監視し、戦争犯罪人とされた人、など単に台湾に国民党とともに逃れてきた人だけではありません。
分厚い本で、多くの心ゆさぶられる経験談が語られています。大変、悲惨、残酷な物語も多くでてきます。
著者は両親が大陸から台湾にきた外省人で、台湾では著名な著述家で、現在は文化大臣をされているそうです。この本は著者がドイツにいる兵役につこうとしいる息子に語るという形で始まり、様々な個人のエピソードをつないでいくことで、個人からみた歴史を描こうとしているものです。中国、台湾、日本をめぐる様々な政治的立場の人からみると全体を捉えていない、という見方もあるかとは思いますが、そもそも正しい一つの歴史とかがある訳ではないのだと思いました。
ただでさえ、日本の高校の歴史の授業では現代史をちゃんとやらないのですが、この日本が敗戦しれから台湾に国民党政権が移ってくるまでの数年のことについては日本ではほとんど知られていないと思います。台湾という国家の成り立ちの重要な部分はこのころにある、ということはよくわかりました。
逆に国民党が大陸からやってきて国家を乗っ取られたともいえる元から台湾にいた人たちの立場の本もあれば読んでみたいと思います。映画「台湾アイデンティティー」はそういう物語でした。
