本日の読書感想文




宙ごはん

町田そのこ



感想 

 

これまで列席した結婚披露宴の終盤、花嫁の手紙で「お父さんとお母さんの子供に生まれてきて良かった。」とか「お母さんのようになりたい」などよく聞いてきたが、その度に、この人は幸せなお家で育ったのねと白けた気持ちになっていた私は、いわゆる機能不全家族の中で育ったと思う。



「思う」と断定できないのは、自分の育った家族環境しか分からないから。そして実家と縁を切った今でもその呪縛から逃れ切れていないから。



この本はとにかく色んな家族が出てくる。色んな親が出てくる。色んな事情を抱えていて、そこに至るまでにもまた事情があって。



出てくる登場人物が、自分の周りの人間に重なるところもあり、なんか苦しいなぁと思う時もあったが、物語としてはハッピーエンドな感じに纏まっている。お話ごとに出てくるご飯も美味しそうだ。

「第三話 あなたのための、きのこのとろとろポタージュ」が一番好きだな。



第五話に登場する遠宮くんの、早く自立したいと思う気持ち、「オヤジの死を目前にしてようやく、ぼくの世界が目を覚ました」ところ、「心の奥底にずっと溜めていた不満や苦しみみたいなものが、一気にあふれ出てきた。」「頭の中に電流が走って、回路が目まぐるしい勢いで書き換えられていく感じ」など、いつかの自分もこんな気持ちを経験したなと思った。



遠宮くんも言う通り、私も本の中の家族はファンタジーだと思う。この物語はとっても素敵だけれど現実じゃないな。現実的にはもっとドロドロするはずだが、そういう描写は少ないので読みやすい。



家族は本当に面倒くさい。だけど1人じゃ生きては行けないから、誰かを頼ったり頼られたりしながら、自分や他人の生き方を否定せずに受け止めていけたらなぁというお話。