パパさん、あのね。(2) | 夜の風、あるいは羊の咆哮

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パパさん、あのね。



きょうは、かーこおこってるの。



だってさ、


あかちゃんははやくねなさいっていうのは


いつもパパさんじゃん?



だけどさ、


きのうはよるの11じよ。



わたしはもうすっかりねてたわ。



むりやりおこされて


タクシーにのったの。



わたし、なきたくなったんだけど、


でもね、


ママさんがないてたからさ、


わたし、なかなかったの。



だって、


わたしまでないたら、


ママさん、たいへんじゃん?



わたしだって、


それくらいがまんできるの。



それでさ、


パパさん、


きのうはいったいなんだったの?



シュウゲキとか


リュウチショとか


コウリュウとか。



むずかしすぎて


わたしにはわからない。



なにがあったのか、


ちゃんとせつめいしてよね。



パパさんのせつめいは


むずかしすぎて


いみがわからないの。



ホウノセイギとかホントウノセイギとか。



なにいってるのよ。



いみがわからない。



ママさん、ないてたんだからね。



わたしもなきたいのをがまんしてたんだからね。



けいさつってところに


はじめていったわ。



なんかじめじめしたところね。



ママさんがさ、


ぎゅーってしてくれてたからさ、


わたしはだいじょうぶだったんだけど、



なんかね、


ママさんもおこってたのね。



コウリュウキゲンとか


メンカイとか


ベンゴシとか。



わたしね、


じっとしてたわ。



ずっとみみをすませてたの。



だってさ、


ママさんもさ、


おこってたしね。



わたし、なかなかったよ。



ちゃんと、じっとがまんしたんだよ。



それからしばらくしてさ、


パパさん、でてきたじゃん?



それでさ、


わたしのこと


ぎゅーってしたじゃん?



あれってさぁ、


ちょっといたかったんだよね。



これからさ、


ぎゅーってしてもいいけどさ、


つよさをすこしかんがえてほしんだよね。



あんまりぎゅーってしたら


いたいの。



でもさ、


パパさんがいて


かーこはあんしんしたの。



ママさんはね、


パパさんはひととしてわるいことは


なにひとつやってない


っていってたの。



パパさんのやったことは


にんげんとしてまちがってない


っていってたの。



だからだいじょうぶだって


おもってたんだけど。



でもね


すこしふあんだったの。



パパさんがでてきてさ、


わたしうれしかったわ。



だいじょうぶだったんだってね。



シュウゲキってさ、


らんぼうなことなんでしょ?



パパさん、シュウゲキしたんでしょ。



いたいいたいっていってたけど、


でもうごいてたからだいじょうぶだっておもってさ、



パパさんのかおみたら


あんしんしちゃった。



そこからさ、


わたしねちゃったからさぁ、


だって、


あかちゃんははやくねなさいっていうのは


いつもパパさんでしょ?



わたし、あんしんしてねちゃったわ。



パパさん、


ことのいきさつを


ちゃんとせつめいしてよね。






じゃあね、またね。パパさん。