「正欲」を鑑賞しました。
原作を読んでいなかったので、映画化されると知り、昨日読了。
まずこの原作を映画化すると聞いて、朝井リョウ氏は大変驚いたのではないだろうか。これまで数多くの衝撃作・問題作と言われた作品を観てきたが、これは人間の本質を鋭くえぐった、文字通りの衝撃作である。
中学校で出会った桐生夏月(新垣結衣)と佐々木佳道(磯村勇斗)は、ある日お互いの性癖が同一であることを知る。これまで他人に絶対に知られないよう、目立たない生き方をしてきた二人に、一瞬の光が差したような心地よさを感じた。成人となり遠く離れて暮らしていたが、佳道は両親が事故により死亡したため実家で一人暮らしを始めた。やがて、宿命のように二人は再会し、この世で二人だけの世界を生きるために、偽装夫婦となるが・・・。
このオファーを新垣結衣に出したスタッフに驚くが、それを受けた新垣結衣は、相当な覚悟を必要としたことだろう。
全編を、胸が苦しくなるような言葉で綴られている。
「自分がどういう人間か、他人に説明出来なくて、息が出来なくなったことはありますか」
「明日が来なければいいと思って生きてきた」
「誰にもバレないように、無事に死ねるように生きてきた」
「生きるために必死だった道のりを、あり得ないって簡単に片づけられたことって、ありますか」
何をもって「普通の人」というのか、現在の多様性の社会では既に死語になっている感さえあるが、誰にも他人に見せない裏の顔があり、多くの悩みを抱えて生きている。しかし夏月や佳道のように、余りにも意外な性癖を持つ人々には生き辛さしか感じない社会なのだろう。
今年度の邦画№1は、既に3回観た「ゴジラ-1.0」がダントツであったが、ゴジラの前に「正欲」が立ちはだかった。


