「金子差入店」を鑑賞しました。
刑務所や拘置所に収容された人々への差入には厳しい審査や検閲があり、それらを熟知し、代行する商店が差入屋。取り扱い品目は多岐に亘り、面会人の代行で手紙を代読する業務もあるという。
金子真司(丸山隆平)は、伯父の星田(寺尾聰)から引き継いだ差入店を営んでおり、妻の美和子(真木よう子)と10歳になる息子の和真、星田と共に暮らしていた。
ある日、和真の同級生の花梨が何の関係もない男に殺害される。金子達が花梨の死から立ち直れないでいた時、犯人の小島(北村匠海)の母親から差入と手紙の代読を依頼される。金子は仕事として淡々とこなそうとするが、面会した小島の態度に感情を激しく揺さぶられる。また、拘置所で毎日のように出会う女子高生(川口真奈)が、自分の母親を殺した男(岸谷五朗)との面会を強く求めていることを知る。2つの事件と向き合ううちに、金子の過去が周囲に知られるようになり、家族の生活が揺らいでいく・・・。
小菅にある東京拘置所の近くに「差入店」の看板を掲げた商店があり、何度か店の前を通ったことがある。本作品を観て非常に特殊な仕事であり、精神的な苦労を伴う業務であることを改めて知った。金子真司を演じた丸山隆平は「自分の代表作になればいいと思っている」と語るほど、強い気持ちでこの役に臨んだそうで、家族に対する表情の変化や激しい憤りを抑えた演技が見事だった。犯人を演じた北村匠海は、一瞬誰だか分からないほどのメイクでサイコパスな犯人を演じ切っていた。寺尾聰の出演シーンは多くないが、長年差入店を経営するなかで、様々な加害者家族や収容者と関わってきた人間力の深みが滲み出ていた。また、女子高生を演じた川口真奈は、本作品が映画初出演であり重い過去を背負った難しい役であったが、激しい感情の起伏が伝わってきた。スクリーンに凄惨なシーンが映し出されるが、エンドロール後に「救い」があり、最後までお席は立ちませんように。
ただ、残念なことに真木よう子の滑舌の悪さが終始気になった。