〇俺を追放した日本の経済スカッスカッとジャパンで「ざまぁ」
かつてアジア通貨危機やリーマンショックなどで苦境に立たされた日本の多くのメーカーは「役立たず」の「儲けを出していない」部門の「必要ない」オジサン技術者を「早期退職か一日中パワハラ・モラハラ三昧の追い出し部屋で鬱になるか」迫りリストラ(首切り)していきました。
信頼していたパーティ(部署)のリーダー(上司)に裏切られ、尽くしてきたカンパニーを追い出された日本の技術者たちは自分のスキルを評価してくれ現在の給料の何倍もの年棒を提示した韓国・中国のスカウトに誘われてかつてのライバル企業に就職しました。そこでは自分のスキルはチート状態で韓国・中国の技術者がどうやっても実現できなかった工場ラインの歩留まりの向上や製品の品質向上に貢献しました。その結果、「今後成長が期待できないが安定した売り上げのある成熟分野」「今後成長が見込めるかもしれないが今は全く利益の出ない未成熟な分野」への投資を怠っていた(「守りの経営」と言うそうです)日本企業は次々とシェアを落として没落していき「経済スカッスカッとジャパン」になりました。
そんな事つゆ知らず、渡航したオジサン技術者は役員待遇並みの給料でタワマンの高層階の一室を用意してくれリムジンで運転手が毎日送迎に来てくれる日々を満喫していました。会社に着けば娘位の年齢の女性従業員にモテモテで、韓国・中国人の男性技術者たちも先生、先生と頭を下げて教えを乞うてくる。
という無双状態は1年ほどで終わります。唯一無二のだれにも習得できない圧倒的な「チート」スキルや知識を持っているわけではなく、前職で得た韓国・中国企業に提供できる知識・技術のストックが尽きてきてだんだんと「出がらし」状態になります。日本より過酷な受験戦争・就活競争・出世競争を生き抜いてきた「生徒」たちは貪欲に彼以外からも最新の技術を吸収して「先生」の教えを必要としないレベルまでなりました。ちょうどそのころに契約が切れ当然のごとく契約は更新されず、オジサン技術者は一時いい夢を見させてもらいましたと膨らんだ財布とともに日本へ帰国し職探しをするのでした。
〇選択と集中を失敗した日本企業
バブル経済の時、日本のメーカーはモノ作りだけをしていればいいのに、全く本業と関係ない事業も「シナジー効果がある」といってあれやこれや手を出してしまいました。その頃は怪しい経営コンサルタントが持ち込んだ怪しい文化事業・観光事業も「メセナ」と称してちょうど今の環境事業のように企業の「社会的貢献」の名の元に行われていました。
それらがバブル崩壊後にお荷物となり真っ先に切り捨てられましたがそれでも業績が回復しないので本業のほうにもリストラ(本来はリストラクチャリング、会社組織の再構成のはずで単なる「クビ切り」ではないはず)を行いました。
事業計画などでコスト削減のため「お荷物部門」の労働者のクビを切る、とストレートに表現すると労働者の解雇に厳しいマスコミや世間に叩かれるのが必至です。そこで「選択と集中」という立派な経営戦略の名で赤字部門ごと切り離して労働者を切り捨てました。「選択と集中」もきちんとSWOT分析などして事業のポートフォリオを再構築する、経営資源を成長分野に集中するのならいいのです。しかし会社のコストカットのための分社化の名の元、余剰人員を詰め込んで切り離し、分社化した先で労働者同士の会社にしがみつく椅子取りゲームが始まるという地獄が生じました。
複数の家電メーカーから切り離された液晶部門や半導体部門同士が合併したところが今一つうまくいかなかったのは結局、勢いのある韓国や中国・台湾のメーカーに比べるとどうしても弱小連合でしかなかった。そして技術云々以前の問題として合併前の日本的な結びつきの強い(群れるともいう)同じ会社出身同士の集まりがよその会社出身の集まりと互い反目しあっている。上司が違う会社からの人間で話が通らないと、その上司の上の役職の同じ会社出身の人間に話をもっていって頭ごなしに物事をすすめる。これはやられた上司のほうは面白くないわけで社内のコミュニケーションに悪い影響が出ます。
業績悪化は止まらず足を引っ張りあうだけでなく、どうにか自分たちだけ会社に残ろうとリストラ要因になるよう相手に業績悪化の原因を擦り付ける。
当時の経済誌やネットの掲示板には「中の人」の怨嗟のこもった声がいくつも載っていまして、社内で深刻ないがみ合い、セクショナリズムをおこして会社の組織が機能不全を起こしたままさらなる業績悪化へと向かっていき最終的には倒産という結果になったところも多いです。
〇日本人は日本の企業のために働くべきか
結果的に日本経済にマイナスの作用を及ぼした他国へ渡たりライバル企業で働いた日本人技術者。本人たちからしたら中年男性の再就職が難しい世の中、会社から必要ないと言われ、追い出されたらそのあとどこで働こうが勝手なはずで、そもそもライバルメーカーに就職して欲しくなければその旨、書面に明記して退職金の上乗せなどすればいい話です。(ただし技術者の中には在職中から持ち出せるものを持ち出して韓国や中国のメーカーで禁止されているはずの「副業」をしていた人もいたそうです)
日本のメーカーの苦境の最中、リストラされたとはいえ日本のメーカーで在職中に得た技術や知識を韓国や中国のメーカーに「売り渡す」ことには反感を持つ人もいると思います。当時このような日本人技術者がよその国のメーカーに「身売り」することにネットの意見はたいそう厳しいものがあり「売国奴」とか「戻ってくるな」みたいなことを言われていました。日本人は日本のため日本企業で働くべきという発想がどこかにあるためでしょう。
今の若い人は自分のため日本企業のライバルの海外企業のために働くのは個人の自由と思うでしょうか。それとも日本人の大半は日本企業で働くし日本企業が日本人の生活を支えているから海外のライバル企業で働くべきではないと思うでしょうか。一度、Xか何かを使ってアンケートを取ってみようと思います。