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依存奏法
人に寄りかかった演奏をしています。小節を数えないので同じようなフレーズが続くとギターメロかドラムのフィルインを頼りにしています。
5拍子「マルサの女」ソロはアドリブの最中に何拍目か分からなくなります。仕方なく弾きながらフレーズを強引にドラムへ合わせます。しかもソロ終わりは4小節セットが分からなくなっているのでギターに正しいところで入ってもらいます。じゃあよろしくね、という具合にギターとすれ違いながら適当に片付けてバッキングに入ります。ソロは全部分からなくなっている。我ながらひどいなあ。
本歌取り奏法
冒頭写真は「モノですか、ポリですか」で取り上げたプリズム「Love me」レジストセットです。ライブが近いのでまたもやマスキングテープを貼っています。テープを貼る理由は現場でPAさんに指示された音量を書き入れるためです。
曲構成はダブルタイムフィール(注)に変わったところで上物全員のソロ回しがあります。全員といってもウチのバンドは二人です。一巡目のソロはピアノ音で弾きます。私はピアノが苦手でソロもせいぜい1分が限界です。
速弾きパッセージで鍵盤上をいくら走り回ってもバリエーションがないからくどくってつまらないなあ。弾いてるほうがつまらないんだから聴いてるほうはもっとつまらないよ。ジャイアンみたいな音楽の我慢大会はいやなんだよね。
ソロがお粗末過ぎてこのままでは本番で弾けません。かといって膝を打つ妙案も浮かばない。数日後に思いついた案が以下の演奏です。
ダブルタイムフィールのドラムはラテン→16ビートで進行します。このラテンはサンバで乗っかれるね。「トンボミー」でやってみよう。「Tombo in 7/4」と「Love me」を混ぜて「トンボミー」です。「Tombo」は7拍子の曲ですがサビの4拍子だけを使います。サビは誰でも知っていますからね。そんな曲知らない?「サンバ・デ・ジャネイロ」ですよ。聴けば分かります。
二曲の混合方法は「Love me」のコードを基準に「Tombo」の旋律の音数を増やして合わせます。さらにラテンということでミッシェル・カミロ「On fire」も「ファイヤミー」で詰め込もうと画策中です。セルジオ・メンデス「Mas que nada」で「マシュケミー」も行けます。二曲をダブルタイムの8小節に詰め込むので、はみ出る箇所を試行錯誤しながら収めます。
「鍵盤の芸」に書いたポリフォニーとは違います。モチーフ変奏というのですが、ネタがない時の拝借奏法です。リスペクトと言えば聞こえがいいですけどね。和歌の技法、本歌取りと同じです。
ソロ二巡目
本番まで二週間ちょっと。本物楽器も時間もないのにこんなもんできるかいってことで二巡目ソロのアナログシンセは一度も弾かずに不採用。オルガンを採用です。本物プリズムでは誰も弾いてないけど。偽物ハモンド慣れてるしね。原曲とはもはやコードの関係しかありませんが、人間は楽なほうに流れていきます。考えたメロディを忘れそうなので楽譜に書き起こしました。一巡目ソロは楽譜の最下段に「ピアノTombo me fire me」と注意書きを書いただけ。これで思い出します。たぶん。
オルガンのほうは最後の合同練習前に決めていたのでメンバーに披露しました。発起人でバンドリーダーのギタリストに事情を説明します。
「この機械(nord electro)持ってきて(観客が)オルガン聴かずに帰るのはどうよ、って思いましてね。ロータリーも使います」
「(スピーカーの回転を)速くしたり遅くしたりするやつね。いいんじゃない」
「原曲はアナログシンセの人いますけど。私のじゃいい音出ないし」
「あれね。鍵盤四人で弾いてるんじゃないかな。ピアノの人、エレピの人、アナログシンセの人、シンセの人、みたいなさ」
「えっ、三人かと思ってました」
プリズムそんなに大勢いたんかい。後からネットで見たら鍵盤3、ギター2、ドラム2、ベースとサキソフォンとパーカス各1の十人編成です。上物人数は合っていますがギタリストはサックスと鍵盤を勘違いしたようです。ウチのバンドの人数は半分以下、上物は六人に対して二人しかいません。
「俺三回目(のソロ)やるけど、○○(私の本名)ちゃんも三回目やる?」
「いや~。やりませんよ。ネタ切れですもん」
ギタリストはアドリブソロが大好きです。この日は予告なく三巡目に突入しました。長さも気分次第なのでエンディングがギターの曲は大概がいつ終わるのか未定です。
注:テンポが2倍の速さになったように感じるが、メトロノームの数字とコードチェンジのタイミングは変わらない奏法。BPM=80で四分音符で四回叩くのと八分音符で八回叩くのは同じ一小節。リズムに加えて旋律と伴奏の手数を増やすと八分音符のほうは四分音符のテンポが2倍で2小節あるように感じる。逆はハーフタイムフィール。