<伝える>と<演じる>の間 | ほんとうのピコットさん

ほんとうのピコットさん

子どもの本屋「夢文庫ピコット」店主です。
タイトル「ほんとうのピコットさん」については、
http://ameblo.jp/pikot/archive1-200711.html をどうぞ!

絵本は、
トレーニング不要で誰にも読めて、

ページさえ開けば、

どこのご家庭でも手軽に楽しめます。

 

そして、
読み手と聞き手が同じお話世界に
一緒に行けることが絵本の一番の魅力です。

 

読み方についても、読み手次第。
ドラマチックに読んでも、

トツトツでも淡々でも、
絵と文章がちゃーんと

お話世界に連れて行ってくれます。
また、一度で分からなくても平気。

むしろ、繰り返し読むことで
理解が深まっていくのが楽しみなんです。

 

・・・と、家庭での読み聞かせについて、

わたしはそんなふうに思っています。

けれども、大勢の子どもたちに読むときは、
ちょっと工夫がいりますよね。

こどもの本屋という立場から、

時々はそんな機会もいただきますが、

聞き手全員が絵本の入り口から
お話の世界に入って
一緒に小さな冒険を楽しんで、
みんな揃って現実世界に戻ってく
ために、

お話の中で迷子になる子がいないように、

声色を変えたり、間を取ったり、
時には顔の表情も交えてといった工夫もします。

 

そうはしつつも、

思い浮かべるイメージは聞き手のものなのに、

読み手が、どこまで強く

気持ちを込めて良いものかという、

迷いもあります。

これは読み聞かせ仲間の間でも、

よく話題になるテーマです。

そんな迷える本屋が手にした雑誌、

<母の友11月号>

特集が「声」だったので興味深く読みました。

 

声の持つ力、文字と声、

ことばと感情の関係などについて

様々な方へのインタビューで構成され、

どの記事も面白かったのですが、
アナウンサーの堀井美香さんの、

<声に出して読む仕事に>への考えが

とても参考になりました。


読みについてのポイントを、

堀井さんはこんなふうに説明しています。

カラオケニュース

内容を聞き手に届けるのが目的なので、

読み手の感情は入れずに読む。


カラオケナレーション
映像や音楽が中心なので、

言葉はうるさくなりすぎないように。

 

カラオケ朗読

物語の世界を自分の体に取り込んでから

言葉を自分なりに表現していく。

 

なるほど。

そうなんだ。

勿論、アナウンサーのお仕事と、

子どもたちへの読み聞かせは違いますが、

場合によって読み方を変えることは、

読み聞かせでも参考になりますね。

迷いは、幾分晴れた気がします。音譜

 

一対一で読む、家庭で読む、

くり返し読む機会がある、という場合には、

慣れた聞き手に限りますが、

ニュースの読みのように、丁寧に、

言葉を届けることを考えて、読む。

(それでも感情は漏れ出しますが。)

 

一方、今日出会った子どもたちとの、

1回限りの読み聞かせという場合では、

みんなで行って戻って来られるよう、

<朗読>の読みを準備したいですよね。

自分の中に景色や音やにおいが浮かぶまで、

繰り返し読んで準備しよう!

 

絵本って面白いと思ってもらえるよう、

様々な状況に対応できるよう、

迷える本屋、頑張るぞ!

と思えた母の友の特集でした。

 

 

 

 

母の友 2023年12月号

特集:”声“が聴きたい

 

福音館発行 税込¥700.

発行70周年だそうです。オメデトウ!

 

 

応援よろしく!


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