Spica(9) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「芸能界って。ホントに厳しいんだね…。昔気軽にそこに足踏み入れようとした自分が愚かだわー」

 

真緒もやけ酒のようにグッとシャンパンを飲んだ。

 

「まあ。なんでもやってみないとわからないじゃない。あたしが反対しても。まあ人の噂もナントカで。そのうち一ノ瀬ゆかりって女優昔いたよねってくらいになって。でも世の中何も変わらないしね。でも。ユキちゃんもそれから大変だったのよね、」

 

「そう、ね・・」

 

今度は野々村家の話に転換していく導入で天音はちょっと緊張した。

 

「ゆかりさんが結婚してから半年くらい経ってから。私と直さんがつきあっていることが父に知られてね。母が亡くなったりといろいろ大変なことあって父もピリピリしていて。直さんを呼びつけて『二度とおまえの顔なんか見たくない!』って。酷いこと言ってね・・。直さんは浜松に帰ることになっちゃって。私には見合いさせようとしたり。その頃毎晩のようにゆかりさんに電話して・・」

 

「そうそう。もう必ず最後にはユキちゃんが泣いちゃってね・・。あたしも子供が産まれたばっかりでなかなか力になれなくて。でもー。一番はユキちゃんの幸せだから・・って思って。言っちゃったのよね、」

 

真緒と天音は妙な緊張感に包まれた。

 

「もう野々村さんの所へ行きなさいって、」

 

ゆかりの言葉に二人はぎょっとした。

 

「・・お母さんが。駆け落ちの背中押したってこと??」

 

「結果的にはね。うーん。うまく言えないんだけど。どんなに反対していても親子じゃない。だから最後はわかってくれるだろうし、もしうまくいかなくて戻ったとしても。許してくれるんじゃないかって思ったの。でも野々村さんとはアカの他人だから。どんなに愛し合っててもこうやって引き離されたらもうダメになっちゃうんじゃないかって。そう思ったの。やっぱりおじいちゃまが最後には真也さんの気持ちを汲んでくれたみたいにね、そうなれるんじゃないかって。」

 

ゆかりは頬杖をついてゆったりとしてそう言った。

 

「ユキちゃんが野々村さんのところに行っちゃってからは。最初のうちは連絡もあったんだけど。そのうちなくなっちゃってね。心配してた。」

 

「申し訳なかったんだけど。でも。なんか退路を断つっていうかね。そういう気持ちで家を出たから。誰にも甘えないで頑張ろうって。」

 

有希子は穏やかな表情だった。

 

「でも。お父ちゃんのトコ行ったっておじいちゃんもわかっとったんやろ?連れ戻されなかったん?」

 

天音は疑問をぶつけた。

 

「もちろんわかってたと思う。でも。兄さんがね、もう有希子の好きにさせてあげてほしいって言ってくれたんですって。後から聞いたことだけれど。だから家を出てからはもちろん父や兄とも連絡取らなかったし。とにかく直さんと二人で頑張ろうって、」

 

夜も更けてシンとした空気がその場を包み込んでいた。

 

そして話は野々村家の方に移ります・・

 

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