「・・お金なくても。別につきあえるんじゃない?」
疑問に思ったことを天音にぶつけた。
「まあ。それもそうですけど。二人目につきあった人はバイト先の飲み屋のお客さんで丸の内のOLやったんですよ。年上で。まあデートってなるとほぼ奢ってもらったり。なんかヒモみたいやなって情けなくなって。彼女の方は気にしなくていいよって言うけど。なんか。情けないが勝っちゃうっていうかね。でも金のない所から抜け出せるわけじゃないからその繰り返しっていうかね。『お金じゃないよ』って言うけど。それはキレイごとですよ。結局金じゃないですかね、」
天音はパクパクとごはんを食べ続けた。
「そうかなあ、」
「嫌味でもなんでもなく。それは真緒さんがお金に困ったことがないからそう思うんですよ、」
それにはややムッとした。
「ホント。嫌味よ。」
「子供のころから兄ちゃんに口酸っぱく言われてきましたから。
『天音。働くようになったらちゃんと金を貯めておくんやで。いざとなった時一番力になるのはなんやかんや言うても金やから。自分のためやなくても力になる。』ってまあ結局東京で暮らすって結局金かかるわけで。そんなに貯めれんくて学校の金も父ちゃんや兄ちゃんに出してもらうハメになるんですけど。」
と言ったあと、なんとなく兄のマイナスイメージを言ってしまった気がして
「あ。兄ちゃんは別にケチとかじゃないですから。誰かを助けてあげるためにもってことです。だから無駄遣いすんなよってことで、」
とフォローしてしまった。
「・・別になんも言ってないじゃない。」
真緒は変に気を回す天音にさらにムッとした。
「だから。兄ちゃんは趣味もない。なんやかんやで。家族で一番苦労してるの兄ちゃんやなって思ってますから。」
茶碗のご飯粒をキレイに食べて天音はふうっと息をついた。
「中学の頃は学年トップの成績で。学校でやった全国模試で・・確か中3の頃数学で全国5位とか取ったことあるんですよ。いい高校にも行けたんですけど。家から一番近い公立高校に進んだんですよ。自転車通学で金もかからんしすぐに帰ってきて畑も手伝えるからって。部活なんかもやらずに。高校でも常にトップクラスやったから先生から奨学金で大学行ったらどうやって言われても。早く家のこと手伝いたいからって行かなかった。・・ってあとから父ちゃんに聞いたんですけど。その頃は兄ちゃんはすごいなあ、偉いなあって思ったけど・・」
そして食べ終わった食器をキッチンにかたしに行って洗い始めた。
天音から初音の苦労を聞く真緒でしたが・・
↑↑↑↑↑
読んでいただいてありがとうございました。よろしかったらポチお願いします!
で過去のお話を再掲しております。こちらもよろしくお願いします。