Aldebaran(16) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

赤星とは神社で別れた。

 

「明日。ほんまに行くのん?」

 

天音は帰り道兄に言った。

 

「まあ。知らず知らずのうちにおまえも伯父さんやお母ちゃんにお世話になったし。きちんとしておいた方がいいと思うから。嫌か?」

 

「や。嫌ではないけどさ、」

 

「これからは自由にお母ちゃんと会ってもええから。お父ちゃんも言うてた、」

 

 

んなこと言われても。

 

 

天音の本音だった。

 

 

いや

 

さっきの『元カノ』も気になるやん!

 

 

「・・さっきの彼女。やっぱ『家』のこと考えて別れたん?」

 

思い切って聞いてみた。

 

「まあ。彼女は神戸の大学に行くってことは決めてたし。そうなったらやっぱりつきあうの難しいやろなって。」

 

「お父さん市議なんやろ?」

 

「うん。彼女のためにもな、別れた方がええって思ったから、」

 

何でもないように言うけれど。

 

「でも、」

 

と言いかけた時。

 

「あ。お母ちゃんの実家のことは。北都の人たちやおまえの会社の人たちには内緒にしとって欲しい。」

 

初音は思い出したように言った。

 

「え?」

 

「頼む、」

 

それって。

 

もちろん真緒さんにも内緒ってことで。

 

いや。

 

もし彼女との釣り合いを気にしているのだったら、

 

高野一族

 

であることを彼女に言えばなんの障害もなくなる。

 

仕事だって。

 

初兄なら東京でいくらだってできる。

 

お父ちゃんのことは気になるやろけども、当のお父ちゃんが行って欲しいって思ってるんやし。

 

ほんまに非の打ちどころのない兄だけれど

 

こういう頑固でめんどくさい所がある。

 

 

 

 

こうして。

 

天音と初音は共に東京へ向かい、高野家を訪ねることとなった。

 

 

うーん・・

 

想像の域を超えている・・

 

 

天音は通された応接室に入って思わずぐるりと見まわしてしまった。

 

北都邸もすごいのだけれど高野邸もそれに負けないくらいの豪邸。

 

兄は落ち着いてソファに座ってボーっと待っている。

 

まあ

 

ここに来たのは初めてじゃないんだろうけれども。

 

天音はソファの背もたれにも身体を預けられず前かがみにジッと待っていた。

 

 

「ごめんなさい、お待たせして。」

 

入って来たのは。

 

『母』と。

 

『母の兄』である伯父、そしてその妻である伯母。

 

天音は慌てて立ち上がった。

 

母有希子は何とも言えない感慨深い表情で彼を見つめた。

 

「この前は・・」

 

そう言ったきり言葉が続かない。

 

あの時は単なる『調律師』と『副社長』として会って。

 

今『母』として会ってもなんだかヨソの人、みたいで。

 

目を潤ませる母には申し訳ないけれどそんな気持ちだった。

 

「天音。来てくれてありがとうね、」

 

母は距離を取って頭を下げた。

 

「あ、いえ。 兄ちゃんから話全部聞いて。びっくりしたけどー・・。でも。おれが東京で調律の仕事するの協力してくれたってきいて。こちらこそ、」

 

ものすごいぎこちない会話だった。

 

母の実家のことを北都家の人々に黙っていて欲しいという初音の気持ちが天音にはわかりません。そして母や伯父たちに正式に会うことになり・・

 

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