Betelgeuse(12) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

口に持って行った箸が止まった。

 

天音は兄を目をぱちくりさせたまま口をもぐもぐさせた。

 

そしてごっくんと飲み込んだ後

 

「なに・・? 急に・・」

 

兄の顔色を窺ってしまった。

 

初音は思わず口にしてしまった

 

 

お母ちゃんに会いたいか?

 

 

という言葉をいまさら引っ込めることもできず

 

「や・・。 おまえ。おれに一度も『お母ちゃんに会いたい』って言わんかったなって。急に、思って、」

 

少し慌てて目を反らした。

 

天音は兄をジッと見たまま口だけはごはんを放りこんだ。

 

 

「それは。さあ。 なんで?って言われたら。自分でもわからへんけど。兄ちゃんが全ておれの世話してくれたから、やないんかなあ。ヨソの子にはお母ちゃんおるけど、なんでウチはおらへんのやろって思わんかったこともないけど。兄ちゃんにもお父ちゃんにも・・まあ、聞いたらアカン雰囲気も子供ながらに感じてたからかも。てか。お母ちゃんて。生きてんの???」

 

無理をして言っているわけではないことはずっと弟を見てきてわかった。

 

「そら。生きてるよ、」

 

ボソっと答えた。

 

「そもそも。お父ちゃんと離婚してんねんから。普通は会われへんとちがう?ようわからんけど、」

 

もともと末っ子気質であまり深く考えることはしない。

 

自分の好きなことをどんどんやりたいタイプで小学生の頃はそれが過ぎて先生から呼び出されたこともある。

 

「そもそもさあ。もし。子供らのことが気になるんやったら。向こうから会いにくればええやん。それとも裁判?かなんかで会ったらイカンとかになってんの?」

 

この10数年の疑問を一気にぶつけた。

 

 

 

天音連れてったら絶対にアカン!

 

絶対いやや!

 

それでけへんかったら離婚も認めへん!!

 

 

中学生だった自分の勢いに大人たちは押し黙ってしまった。

 

 

「お母ちゃんのせいやないねん。 おれが・・」

 

そこに

 

「からあげお待たせしましたー」

 

とからあげがやってきた。

 

「わ~~揚げたて!ここの美味いんやで。兄ちゃんも熱いうちはよ食べて!」

 

天音はすぐにからあげに箸をつけた。

 

 

・・なんなん?

 

こいつ。

 

普通、兄貴がこんな話いきなり始めたら。

 

気になるやん・・

 

 

全く弟の気持ちがわからなかった。

 

「兄ちゃんレモン掛けない派やもんな!でもおれはかける!」

 

自分の分を皿に取って思いっきりレモンを絞った。

 

「全部、食うてええわ・・。 おれはそんな腹減ってへん、」

 

顔をしかめた。

 

「デザートも頼もうかな~。 な、ホクトの仕事。けっこうもろてんの?」

 

天音は親指と人差し指でマルを作った。

 

はああああ

 

深いため息をついた。

 

 

天音の記憶にない母のことを告げようとしていた初音ですが、彼はあまりに淡泊なリアクションで・・

 

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