Fate(19) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「どうも~。」

 

午後になってさくらが一楓を連れてやって来た。

 

「え?今日なんかあった?」

 

成が思わずカレンダーを見た。

 

「うん、少しずつね。 受験も近いから子供たちのデキを見て行こうかなって。 一楓は保育園が決まるまでなんとかここで見ながら・・」

 

抱っこしてきた一楓をソファにそっと下した。

 

「3月まで休むってなってたじゃん、」

 

「そうはいかないよ。 今なかなか保育園も入れないからね・・」

 

「おまえも大変だな、」

 

成は一楓のほっぺたをつついて笑った。

 

デスクの方をチラッと見て、

 

「・・天音くん、どう?」

 

さくらは成に尋ねた。

 

「たまに打ち合わせとかに連れて行ってる。4月からは学校が始まるから重要な仕事はまだ任せられないけど。 なかなか器用でね。手先とかじゃなくて、人と話す時にササっと懐に入れるところとか、」

 

「人懐っこいよね。 これも営業には大事か・・」

 

 

その時

 

「ん・・?」

 

天音はパソコンを打つ手を止めた。

 

そして固まった。

 

「どした?」

 

成が尋ねると

 

「なんか。 水の出てる音、しません?」

 

と言い出した。

 

「は? 水?」

 

「どこか出しっぱなしなのかな・・」

 

と、洗面所やトイレやキッチンを見始めた。

 

「どこも出てないよ、」

 

さくらも確かめに行った。

 

「・・や。」

 

天音はまたジッと神経を集中し始めた。

 

「なんか。 ポタッって感じの音が・・」

 

「・・別に、聞こえませんけど、」

 

小和も怪訝そうな顔をして言った。

 

天音は再び席を立って、納戸の方へ行った。

 

 

「あ!」

 

彼の声がしてみんなそこに集まる。

 

物置代わりにしている2畳ほどの部屋の天井の隅からわずかに水が垂れている。

 

「え! 水漏れ!? ちょっとお、ここ楽譜もしまってあるのに! ナル! 荷物、出して! 管理会社に電話しなくちゃ、」

 

さくらは焦って部屋を出た。

 

「あ~あ~、もう・・。」

 

みんなで荷物をとりあえず廊下に出した。

 

「よくわかりましたね。 このわずかな音・・」

 

小和が感心したように天音に言うと、

 

「耳はね。 おれが唯一自慢できるところだから!」

 

段ボールを運び出しながら子供のように笑った。

 

この天音の耳の良さにみんな驚くことが多くて

 

普通に事務スペースで仕事していると、

 

「あ、成さん帰ってきた。」

 

と言い出して、その数秒後に本当に成が外出から戻ったり。

 

「エレベーターがこの階に停まる音がして成さんの足音が聞こえる」

 

などと普通に言ってくる。

 

さくらと成が彼をセリシールに入れる、と言った時は少し不満な気もしたが

 

小和はその彼の『能力』が徐々に感じられて複雑な思いに駆られた。

 

セリシールに加わった天音ですがその「特殊能力」に小和は驚き・・

 

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