cosmos(7) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「ただ。 やっぱり家庭の事情もあります。あたしの気持ちだけでは、」

 

ななみはまた視線を落とした。

 

「ちゃんとオヤに相談してみ?」

 

彪吾が言った。

 

「・・んーー、」

 

「確かに医者になるにはお金も時間もかかる。『絶対になるんだ!』って強い気持ちを持たないとできないプロセスだし、そういう仕事だと思うよ。 彪吾は・・医者になる気はさらさらないみたいだけどね、」

 

住吉は笑った。

 

「おれも。 ちゃんとやりたいことオヤに言うよ。なんか・・中学受験失敗してよかったって今は思う。今じゃないと自分がやりたいこと気づかなかったかも。 医者って『やらせる』ものじゃないくて『自分でやる』ものだと思う。 他の仕事だって同じだと思うけど、人の命に関わる仕事だからさ。 志藤みたいに真面目な人間がやるべきじゃない?」

 

彪吾はにっこりと笑いかけた。

 

「・・親に相談も・・勇気がいる・・」

 

ななみはまたひとつため息をついた。

 

 

こうしてななみは悶々としたまま時間が過ぎた。

 

そして学校での三者面談が行われた。

 

「じゃあ・・ 第一志望は都立一ツ木ってことで・・」

 

担任の長瀬がプリントに記入した。

 

「・・はい、」

 

ななみは小さく頷いた。

 

「まあ。 志藤さんの成績なら・・大丈夫でしょう。このまま頑張って、」

 

そう言われて、母のゆうこはホッとした。

 

そして面談が終わろうとしたころ

 

「あ、そういえば。 医学部の話、ちゃんと考えたの?」

 

とふられて、ななみはぎょっとした。

 

「・・医学部・・?」

 

ゆうこは驚いた。

 

「そ、それは! ・・まだ、ちょっと・・」

 

ななみは焦ってごまかした。

 

「ま、高校に入ってからゆっくり考えてもいいと思うよ。 じゃ、本日はありがとうございました。」

 

長瀬は立ち上がってニッコリと笑った。

 

 

 

「え! ななみちゃんお医者さんになりたいの?」

 

その後、用があってゆうこの実家白川家に寄った。

 

お茶を淹れてきた兄嫁の優香子がびっくりしたような声を出した。

 

「や・・なれたら・・いいな~~って思うだけで。 全然、そんな・・」

 

ななみは話が大きくなりそうで慌てて打ち消した。

 

「ななみ、全然言ってくれないんだもん・・。 びっくりしちゃった、」

 

ゆうこはお茶を飲んだ。

 

「さすがななみだなー。 おれ、ななみはなんかでっかいことしそうな気がしてたんだよ、」

 

仕事で来ていたゆうこの次兄・拓馬は犬のモーリスを膝に乗せて撫でながら言った。

 

「・・そんなに簡単になれないよ・・」

 

ななみの声はどんどん小さくなった。

 

「そうよ。 お医者さんなんて・・ 自分が丈夫じゃなかったらできないのよ。 ななみにその体力あるの??」

 

ゆうこは心配になって思わず声が大きくなってしまった。

 

考えが固まらぬまま思いが母に知られてしまいます・・

 

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