Loved one(16) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

志藤は北都と目が合って、見てわかるくらいギクっとした。

 

「おまえも暇なわけじゃないだろう。 こんなところで油を売って、」

 

いつもの北都に戻っていた。

 

志藤は仕方なく二人の前に出て行った。

 

「・・仕事帰りに通りかかったんです、」

 

強がったがそれが丸わかりの嘘だったので、驚いていたゆうこも笑ってしまった。

 

北都は小さなため息をついて

 

「・・おまえは。 いつか相当打ちのめされる失敗をする、」

 

彼の顔に指をさして思いっきりそう言った。

 

「は??」

 

「その性格。 絶対に何か失敗をしでかす!」

 

「な、なんですか・・いきなり・・」

 

そこで呆然としていたゆうこが慌てて志藤の背中をつついて

 

「ほら!もう・・言うことがあるでしょう、」

 

小声で言った。

 

「あ・・?」

 

少し考えた後、それに気づいたようだったがなかなかそれを口に出せない。

 

「ほら・・」

 

ゆうこがさらに彼をつついた。

 

志藤は仕方なく大きく息をついて、ガバっと頭を下げた。

 

「・・社長に。 失礼なことを申し上げまして。 大変・・申し訳ありませんでした!」

 

顔を上げた志藤を一瞥した北都は

 

「仕方なく謝ってるのがダダモレだけどな、」

 

冷たくそう言った。

 

それにまた言い返そうとしたので、ゆうこがぎゅっと彼のスーツの端を掴んだ。

 

「・・すみません、でした。 ・・妻のことが好きすぎるあまり。 頭に血が上ってしまいました!」

 

それに反発するようにわざと大きな声で挑戦的に言った。

 

「・・もう、」

 

ゆうこは恥ずかしくて顔を上げられなかった。

 

北都は一瞬呆れ顔をしたあと、クックッと笑って、停めてあったハイヤーにゆうこを乗せた。

 

「え??」

 

「ごくろうさん。 『最後』の仕事。 今までありがとう。」

 

北都は笑顔で彼女に言った。

 

「社長・・」

 

バタンとドアを閉めて運転手を促した。

 

「ありがとうございました!」

 

窓を開けてゆうこは北都に名残惜しそうに礼を言った。

 

 

そして。

 

二人が残された。

 

 

北都が黙って歩きはじめたので、

 

「あ、歩いてお帰りですか、」

 

志藤が慌てて追いかけた。

 

「10分ほどだ。 大した距離でもあるまいし。 別についてこなくてもいい。」

 

ジロっと睨まれた。

 

「おれも。 社に戻るだけです!」

 

志藤は負けずに言った。

 

 

まったく。

 

この人は・・

 

 

志藤はどっと疲れた。

 

北都には半ば無理やり東京に連れてこられて。

 

それでもゆうこに出会って。

 

大恩人なことには変わりがない。

 

何を考えているかわからない所があって気難しくて。

 

それでもこの人の大きさにはかなわないと思う。

 

 

そして。 

 

その後、この人の『予言』どおり。

 

おれは事業部を立ち上げて、何度も何度も

 

失敗

 

をしでかすのだけれど・・

 

 

ゆうこは「最後の仕事」を終えました。志藤は相変わらず北都に素直になれませんが…

 

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