Loved one(7) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

母は最後までは言わなかった。

 

ゆうこは鼻をすすって

 

「・・1年間休職して。 やっぱりやめます、だけはできない。 決めるなら、今決めたい・・」

 

少しだけ落ち着いてひなたを膝の上に座らせた。

 

本当にひなたが愛おしくて。

 

「はい、こえ・・」

 

ひなたが自分が遊んでいたウサギのぬいぐるみをゆうこに渡した。

 

「ママにくれるの?」

 

「うん。 あげゆ。 ママ、ないてゆ・・」

 

子供はかわいいだけじゃない。

 

ひとりの人間を育てるのだ。

 

いい加減にはできない。

 

しっかりと育てて世に送り出してやらないと・・

 

「・・おしゃべり。 上手になったね・・ いつの間にかに・・」

 

ようやく笑顔が自然と出た。

 

ひなたが初めてつかまり立ちした時も。

 

一歩歩いた時も。

 

実家に預けている間で見ることができなかったことを思い出した。

 

ひなたの柔らかい髪をくしゃっと撫でた。

 

 

 

この日、志藤はスポンサー獲得のための接待で帰宅が12時を回っていた。

 

家の中はシンとしていてキッチンの灯りをつけて水を一杯飲んだ。

 

ふうっとひとつ息をついて、首をぐるっと回した。

 

できたばかりのクラシック事業部はとにかく人手も足りないし毎日が忙しい。

 

その中でゆうこのことも重なって。

 

頭に手をやって

 

ハゲそう・・

 

思わず弱気になったが、ハッとして

 

いやいや!ハゲてどうする!

 

慌てて打ち消したりした。

 

洗面所に行くと、脱衣所の籠の中にきちんと自分のタオルや着替えがキレイに畳んで用意してある。

 

ゆうこが具合が良くない中自分の風呂の支度をきちんとしていてくれる。

 

それを見てふっと笑顔になった。

 

 

 

風呂から上がって寝室に行くと。

 

ん??

 

いつもと様子が違うのでそおっとベッドに近づくと、ダブルベッドにゆうことひなたが寄り添うように眠っていた。

 

いつもはベビーベッドか義母と和室の布団で一緒に寝ているひなたがゆうこに抱きかかえられるようにスヤスヤと眠っている。

 

その二人の姿がたまらなく愛おしい。

 

二人が起きないようにそっとベッドに入り、ひなたを真ん中にしてそっとゆうこの背に手をやった。

 

こんなに小さな世界の中に幸せがある。

 

幸せってもっと大きなことだと思っていた。

 

恋人とお腹の中の子供をいっぺんに亡くした時はもう人生が終わったと思った。

 

これからの自分の人生が何があっても埋められない大きな空洞ができてしまったと思った。

 

ゆうこと出会って、少しずつそれが埋められて。

 

こうして3人で一緒のベッドに眠る、ということだけで心が満たされて、そして

 

溢れる。

 

志藤は「ありふれた幸せ」が本当にありがたく・・

 

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