「え、子供?」
母にも少しの間、このことを黙っていた。
仕事帰りひなたを迎えに行き、ようやくその話をした。
「今、8週目。 予定日は今年の暮れくらいかな・・」
ひなたを膝に乗せた。
「・・大丈夫なの?」
母の第一声はその言葉だった。
「え?」
「あんたひなたの時、つわりと貧血ひどかったし。 今度はひなたもいて、仕事もあるのに・・」
「もちろん。 大変なのはわかってる。 でも、やっぱり赤ちゃん欲しいなって。お母ちゃんに迷惑かけないようにひなたには保育園を探すから。」
「いや・・あたしはいいんだけどね、」
そして脇で新聞を読んでいた父が
「会社にも。 また迷惑かけるんじゃねえのか、」
やっぱり神妙な顔をして言った。
「それは・・。 そうかもしれないけど。 でも、甘えてばかりで申し訳ないけどこうしてお母ちゃんたちがいてくれて、実家を遠く離れてる人たちよりあたし恵まれてると思うの。 仕事はもちろんきちんとやります、」
両親のリアクションがゆうこの思ったものではなく、やや動揺した。
すると
「よかったじゃん。 なあ、めでたいことじゃんなあ、」
横にいた次兄の拓馬がひなたをゆうこの膝から抱き上げてあやした。
ひなたはそれにきゃっきゃと喜んだ。
「・・そうだね。 うん、よかったよね。 身体、大事にしないと。無理しないで。 ホントにあたしの方は大丈夫だからひなたの保育園のことも気にしないで、」
母はようやく明るくそう言った。
いけないことだったんだろうか。
ゆうこはひなたが乗ったバギーを押しながら初めてそんな風に思った。
子供ができた、と言った時志藤も一瞬驚いた顔をしていた。
両親もすぐに手放しで喜ばなかった。
『身体を大事にしなさい』
北都の笑顔が脳裏をよぎった。
そっとおなかを抑えた。
志藤は去年春からできたクラシック事業本部の本部長に任命され、本格的に動き出した事業部の長として忙しくしていた。
全く新しい部署であり、一からスポンサー探しやクライアント探しに追われ
部下たちも使い。
正直、家庭を顧みる時間がなかった。
ゆうこには実家の家族がいてくれることに甘えてしまっていたのかもしれない。
彼女の心に湧き上がった小さなシミに気づいてやれなかった。
実家の家族の反応が思っていたものと違っていてゆうこは悩み始めます・・
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