Departure(15) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

そこに。

 

「あれ? ひなた?」

 

声がして振り返る。

 

「裕香、」

 

制服姿で学校帰りであろう幼馴染の裕香だった。

 

「え? 高遠くん?」

 

隣の奏を見て驚いたように言った。

 

「久しぶり、」

 

「え~~? なんかすっごい大人っぽくなった~~。 ピアノ、すごいんだよね? たまにみんなで噂してるよー」

 

「や・・そんなことも、ないけど・・」

 

奏は照れたように笑った。

 

「カナ、もうすぐウィーンに行くんだよ。」

 

ひなたが少し自慢げに言った。

 

「え、ウィーン? 留学? めっちゃすごいじゃん!」

 

「すごいでしょ~~」

 

「ひなたが威張ることないじゃん。 あ、そっかー。 『最後のデート』か、」

 

「『最後』じゃないわ! 勝手に別れさすな!」

 

「アハハ! 今もラブラブなんだねー。 うらやましーー。 あたしなんかこの前彼氏と別れちゃってさ。」

 

こうして話をしていると本当に中学生に戻ったようだった。

 

 

「じゃ。 『デート』なんで。 裕香、またね。」

 

ひなたはわざとそう言ってバイバイをした。

 

「あ~~~、そ。 お幸せに~~」

 

そこでまた3人で笑った。

 

 

その後もてくてくと二人でとりとめもない話をしながら歩いた。

 

何処に行くとか

 

そんなことを話さなかったのに、着いた先は卒業した中学校だった。

 

「ほんの少し前まで行ってたのに。 なんだかすごく懐かしいね、」

 

校門の前に立ってひなたはつぶやいた。

 

「うん。」

 

あたしたちが出会った場所。

 

何となく古い校舎の壁や下駄箱のスノコの感じもただただ懐かしい。

 

みんなと笑ってふざけて。

 

「・・楽しかったなー・・」

 

ひなたの言葉に

 

「いや。 ひなは今も楽しいことがいっぱいじゃん、」

 

奏は笑う。

 

「え? いや・・あたしにもね・・ つらいことはあるよ?」

 

「そうかもしれないけど。 ひなは・・つらいこともいつの間にか乗り越えて。どんな状況でも楽しくなってる。ホントそういうとこすごいって思うよ。」

 

「・・寂しいことも。 楽しくなるかな・・」

 

その言葉の意味を奏は考える。

 

「そういうひなを。 見てるだけで元気になる。 距離も時間も越えても・・きっと、」

 

「カナ・・」

 

少し切なくなった。

 

その時。

 

「え? 高遠?? 志藤?」

 

声がして振り返る。

 

廊下を歩いていた元担任が驚いて窓を開けた。

 

「先生!」

 

二人は笑顔になった。

 

「おー、久しぶりだなー。 高遠、この前のコンクールで優勝したんだってな。 すごいな。 職員室でも話題になったよ、」

 

「ありがとうございます、」

 

二人は彼に歩み寄った。

 

二人が出逢った中学校へと立ち寄ります・・

 

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