To my beloved(10) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「そうそう。 名前。考えなくちゃ、」

 

さくらは思い出したように言った。

 

「性別わかってから考えようって思ってたから。 あたし全然考えてなかったんですけど。」

 

葦切はまだ赤ん坊を愛おしそうに抱きしめて

 

「ぼくは。 ちゃんと考えてましたよ。」

 

落ち着いて言った。

 

「え、男の子の名前と、女の子の名前両方?」

 

「・・どちらでもいいような名前を、」

 

そしてにっこりと笑った。

 

「どちらでも・・?」

 

「もちろん提案のひとつとして、ですけど。 さくらさんが考えてもいいんですけど、」

 

そっと赤ん坊をさくらに手渡した。

 

「や・・あたし。 あんまり文学的才能とかないし。 語彙も・・自信ないんで。 瑠依くんの名前は誰がつけたんですか?」

 

「祐美さんです。 あの時も男の子でも女の子でもどちらでもいい名前って。 これからは海外に出ても通用する名前がいいって言って。 まさか本当に遠い外国に行くようになるとは。 夢にも思わなかったですけど、」

 

少しだけ切なくなった。

 

「じゃあ・・ 今度も。 そんな感じの名前?」

 

さくらはふふっと笑った。

 

「いや。 どっちかっていうと。 和風ですかね。」

 

「もったいぶらないで教えてくださいよ、」

 

そう言われて葦切はポケットから手帳を取り出して、さらさらと文字を記した。

 

そしてそれをさくらに見せた。

 

そこには

 

『一楓』

 

と書いてあった。

 

「・・これは? なんて・・」

 

正直、読めなかった。

 

「『いちか』と読みます。 『か』は『かえで』。 秋の子ですからね。 そして、さくらさんと同じように・・植物の文字を、」

 

そう言われてなんだか胸がジンとした。

 

「『かえで』・・」

 

「『一』はスタートです。 ここからこの子の人生は始まります。」

 

そっと我が子の頭を撫でた。

 

「いちか、ですか。 いい名前です。 いちかにしましょう!」

 

さくらは目を輝かせた。

 

「お父さんとお母さんに相談した方がいいんじゃないですか、」

 

それには笑って

 

「わざと言ってるでしょう・・。 あたしとお父さんがケンカするのけっこう楽しみにしてるんじゃないんですかあ?」

 

そっと身体で彼を小突いた。

 

「一応、字画も調べたんですけど。きちんと見てもらった方がいいんじゃないかと、」

 

「画数とか? どうでもよくないですか? あたしあんまりそういうの気にしないんですけど。 運命なんてね。 自分で切り開くもので親がつけた名前でこの子の人生が決まるなんて。 おかしいですよ。 名づけは親の思いであり、そして責任でもあります。 これから人としての人生が始まるよって・・ 笛を吹くだけですよ。 よし! 決まり! 『一楓』だぞ! きみは!」

 

さくらは赤ん坊に頬ずりをした。

 

彼女のこういう前向きな気持ちに

 

いつもいつも救われる。

 

赤ちゃんの名前は『一楓(いちか)』に決まりました(^.^)

 

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