Autumn shower(20) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

痛みにもんどりうっている最中、さくらはハッとした。

 

「赤ちゃんの、・・支度! 全部置いて来た!」

 

「は?」

 

瑠依は意味が分からず聞き返す。

 

「どーしよ! 自分のモノしか持ってきてないよ!」

 

ガシっと瑠依の腕を掴んだ。

 

「いたたたた!!」

 

その間にも陣痛がやってきて思わず彼の腕をぎゅうううっと掴んだ。

 

「痛い痛い痛い!! 爪! 食い込んでる!」

 

「何やってんだ、あたしは・・」

 

「え~? もうおれもどうしていいかわかんねえよ・・。 ええっと。 祐美さんに電話してみる・・」

 

瑠依は逃げるようにその場から立ち去ってしまった。

 

「ちょ、ちょっと! 一人にしないでよーー!!」

 

 

 

「は? 瑠依? え? 日本にいるの? なにいきなり・・」

 

祐美は電話を受けて驚いた。

 

「それはあとで説明するから! で。 さくらちゃんが産気づいちゃって! 今病院!」

 

「さくら先生が? え~? いよいよ?」

 

「今、仕事中?」

 

「ああ、今日水曜だから休み。」

 

「もー、なんとかしてくれよ~。 大変なんだよ・・」

 

 

 

「あらあら。 ずいぶん早く進んじゃったのね・・」

 

主治医の女性医師が呑気にやって来た。

 

「せ、先生! もう痛くて死にそうなんですけど! 早く麻酔!!」

 

「ちょっと待って、」

 

医師は内診を始めた。

 

すると。

 

「・・あれ?」

 

微妙なリアクションに

 

「な・・なんですか・・? ちょ、ちょっと! なんかもういきみたいくらいなんですけど!」

 

「いきんじゃだめ! もうほぼ全開だよ、コレ。 分娩室に移動!」

 

医師はいきなり慌て始めた。

 

「は? 全開??」

 

「あんたすごいね。 初産でこんなに早くお産進む人、いないよ・・」

 

「ちょっと!感心してないで! 麻酔!!」

 

さくらはもう汗びっしょりだった。

 

「もう間に合わないよ。 これじゃ! 自然分娩で行くよ!」

 

「ハア??」

 

思わぬ展開にもうどうにかなりそうだった。

 

 

「あ、来た来た、」

 

祐美がやって来たのを見て瑠依は立ち上がった。

 

「あれ? 先生は? どこ?」

 

「なんか。 もう入っちゃったよ、」

 

瑠依の指差した先は分娩室だった。

 

「え! もう生まれるの? 早くない?」

 

「よくわかんねえよ・・。 すんげえ苦しんでた・・・」

 

「瑠依の時はなかなかお産が進まなくて。 丸一日苦しんだわよ・・。 いいなァ、こんなに早く・・」

 

祐美は心底羨ましそうに言った。

 

「で。 耕ちゃんは?」

 

「連絡したけど。 出ない。 LINEはしておいたけどー・・。 なんか出張で島根だって、」

 

「もー、肝心な時に。」

 

祐美は瑠依の隣に座った。

 

あまりの早さに普通分娩に切り替えられてしまいます。瑠依も祐美も巻き込まれて・・

 

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