Autumn shower(15) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

大学内にあるカフェで向き合った。

 

「私の母。 カメラマンだったの。 あ、母は日本人。 父親はアメリカ人で・・このボストンの出身。 もう別れちゃったけど。 母は日本の写真専門学校を出ていて、フリーでカメラマンの仕事をしていたの。 そんな時・・路上でサックスを吹いていた嵯峨さんを見つけて・・」

 

宮野木サラはいきさつを簡単に話した。

 

瑠依はまだ無言だった。

 

「とても。素敵な人だったので写真を撮らせて下さいってお願いしたら快諾してくれたんですって、」

 

写真は。

 

3枚あった。

 


B6サイズの2枚の写真と、そしてもう1枚は普通のL版の写真。

 

そこには

 

純太と若き日の母親、祐美が仲睦まじい様子で身体を寄せている写真だった。

 

瑠依はその写真を見ていてどんどん身体の力が抜けて行った。

 

「その後・・ 突然彼が池袋のいつもの場所に姿を見せなくなって。 その前に大手プロダクションと契約したって話聞いてたから・・母はそこに彼のことを尋ねたの。 そうしたら・・」

 

サラの言葉のトーンが沈んだ。

 

「交通事故で、亡くなった・・って。 ・・母はたくさんの人たちの写真を撮ってきたのだけれど、この嵯峨さんの写真が一番気に入っていてね。思いも大きかったから・・とてもショックを受けたらしいの。」

 

瑠依は初めて見るはっきりとした純太の顔に

 

小さな衝撃を覚えていた。

 

「母は半年前に癌で亡くなったの。 遺品を整理していて・・久しぶりにこの写真を見つけてね。 私も今、写真の勉強をしているんだけれど、友人がホクトエンターテイメント所属のサックス奏者が・・ 『Junta SAGA』の名前が入ったサックスを使っているよ、と教えてくれたの。 あなたが出ている雑誌も全部取り寄せて見たら・・。 間違いなくこのサックスだって思って。」

 

サラは少し身を乗り出した。

 

そして

 

「あなた。 ひょっとして。 嵯峨さんの息子さん?」

 

衝撃の一言を発した。

 

「え、」

 

瑠依は驚いて小さな声をあげて顔を上げた。

 

「とても。 似ているから。 嵯峨さんと、」

 

身体が

 

震えた。

 

 

瞬時に

 

「ちがいます、」

 

と答えた。

 

「・・父と、嵯峨さんが幼なじみだったんです。 それで。 このサックスを・・譲り受けて・・」

 

あまりに動揺して声が震えてしまった。

 

「ああ、そうだったの、」

 

サラは疑いもせずに笑顔で頷いた。

 

「写真の勉強をするためにボストンの学校に今月から入ることになってね。 ホクトに問い合わせたらあなたも今ボストンに留学しているって言うから。 どうしても会ってみたくて。 それで訪ねてきてしまったの、」

 

彼女になんの罪があるわけでもなかった。

 

だけど。

 

もうここをすぐにでも立ち去りたかった。

 

 

家族以外に嵯峨純太の存在を知る人物が突然瑠依の前に現れて動揺します・・

 

 

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