Full Bloom(5) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「だったら。 そばにいたいって。 本気で思った。 彼女と離れることの方が想像できない。 そっちの方がおれ、絶対後悔すると思った、」

 

成の声はだんだんと大きくなった。

 

「彼女は恋も結婚もしないって誓った。 それは前の結婚の話が破談になって傷ついたってこともあるかもしれないけど、愛する人と別れることが。 何より耐えられないって思ったと思う。 いや、でも。 そんなのね。 おれといる方が何百倍も幸せって思わせられると思った。 別れることよりも、一緒にいることの方が幸せって。 そっちの人生の方が絶対に幸せだって・・思って欲しかった。」

 

そして言葉が途切れた。

 

まひるはそっと成を見た。

 

「ただ生きるだけって彼女は言ったけど。 せっかく助かった命なのにさ。 淋しすぎるじゃん、そんなの。 おかしいじゃん・・」

 

涙がほろっとこぼれた。

 

それを取り繕うように乱暴に手で拭った。

 

 

ナルが。

 

泣いた。

 

 

母もみずきも。

 

もちろんまひるも驚いた。

 

 

彼の涙を初めて見た。

 

いつもいつも飄々とどんなことでも切り抜けて。

 

本当の感情さえ家族といえどもつかみきれず

 

時には少し薄情なんじゃないか、とも思えるくらいだった彼が。

 

 

「ゆーちゃんを。 絶対に幸せにする。 この先、どうなったとしても。 おれといる間は絶対に幸せにする。 いや、おれが幸せにしてもらう。おれの家族になってもらって、幸せにしてもらう、」

 

涙をこらえながらその言葉を口にした。

 

 

「ナル、」

 

まひるはもらい泣きをしてしまった。

 

するとそっとリビングに繋がるドアが開いて父が入ってきた。

 

「・・片桐先輩の心を開くのは。 こんなに簡単じゃないぞ。 あの人はとても真面目で、一本気で。 娘さんを愛する気持ちも、とても強い、」

 

覚悟をしたように成に言った。

 

「お父さん、」

 

「結局。 おまえはおれの言うことなんか。 一度も聞かない。 なんでもかんでも相談せずに・・さっさと決めて。 でも。 今までそれが間違っていたなんて思ったことは・・一度もない、」

 

父も目を潤ませた。

 

 

またその場がシンと静まり返った。

 

その時

 

「・・ナル兄が泣いてるとこ。 初めて見た・・」

 

末っ子のみずきがその空気も読まずにダイレクトに言ってきた。

 

みんなぎょっとして彼女を見た。

 

今、それ言う・・

 

「でも。 お父さんとナル兄が。 好みがおんなじってことなんだね。 やっぱ。 親子なんだね、」

 

さらにそんなことを言い出した。

 

「・・なに言ってんの・・?」

 

まひるがボソっとツッコんだ。

 

「だって。 その片桐さんて人。 お父さんもすっごく気に入ってたんでしょ? ナル兄のお嫁さんになってほしいって思ってたんでしょ?その人をナル兄がちゃんと好きになってるって。すごくない?」

 

能天気な彼女の発言にみんな力なく笑った・・

 

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  で過去のお話を再掲しております。こちらもよろしくお願いします。

 

成の強い思いを知って結婚を許す父。 みずきのひとことはナニゲに深いですが・・