Root(20) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「ウチは田舎で、兄姉も親戚もたくさんいるんで。 お墓のことなんか心配したことなかったです。でも東京は核家族ばかりで本当に切実な問題ですよね、」

 

葦切はしみじみ言った。

 

「父親の方は今日来た兄が一人で。 母親の方は一人娘でもう両親は亡くなっていていないし。 もう今の時代子供に会社とか家を継いでもらわないとってことじゃないと思うし、もちろん男だけじゃなくて女の子だって家を継いでもいいわけで。 でもなかなかまだ婿養子って抵抗あるみたいで、伯父さんちの上の娘二人はすごく嫌がってましたね。 そんなんじゃ結婚できないって、」

 

成はもりもりとさくらが作ったおかずも食べた。

 

「なんかもう自分の親のこと考えなくちゃいけない年だもんね。 あたしらも。 こういう時高齢出産って大変。親の介護と子育てが一緒に来る!」

 

さくらは一気に落ち込んだ。

 

「でも。 今はたくさんの選択肢があると思うんです。 子供のことも、親のことも。 昔は『こうしなくちゃいけない』っていうものがあったけれど・・。 だから小野塚先生のお家も、みんなが幸せになる方法があると思うんですよね。 考えようによっては、二つの家族を持っているって幸せなことかもしれません。 例えば結婚で二人のそれぞれの実家は親戚になるわけですが、まあ他人ですからそこは色々あると思うんですよ。 でも小野塚先生のところはちゃんと繋がってる。 どちらも『家族』ですから・・」

 

葦切はいつものように穏やかに言った。

 

成は箸を手にしたままボーっとしていた。

 

「・・どしたの?」

 

さくらがツッこむと

 

「・・葦切さんは。 ちゃんとした人だなあ・・。 なんか、すげえよ、」

 

はあっと息をついて箸を置いた。

 

「は?」

 

「こんな落ち着いた人が! よくもまあさくらみたいな女を。 いや・・わかんねえなあ。 男と女って、」

 

「さくらみたいな女を、って! なによ、」

 

さくらは口を尖らせた。

 

「ホントもう感情が凄いから。 火山から吹き出すマグマみたいで。 近づくだけで大怪我しそうなんだもん・・」

 

大真面目に言う彼に葦切は思わず吹き出した。

 

「ちょっと! 耕平さんも笑わないでください!」

 

「マグマって・・」

 

ツボに入ってしまって、葦切は笑いが止まらなかった。

 

「あ~あ。 結婚とか別にして。 彼女欲しいなーー。 おれも落ち着きてえ、」

 

そしてまたばくばくと食べ始めた。

 

「中年の恋は大変だよ? 若い時みたいに何も考えずには突っ走れないから。」

 

さくらが意地悪く言った。

 

「小野塚先生ならすぐにおつきあいする人は現れそうですけどね・・」

 

葦切の言葉に

 

「ほんっと。 優しいよねー。 よくもまあこんな意地悪な女と結婚してくれたって思うよ、」

 

オーバーに言って、さくらにテーブルの下で足を蹴られた。

 

「あぶね! アツアツだぞ! 鍋が!」

 

「憎たらしいことばっかり言うからだ!」

 

子供みたいな二人のケンカを見てまた葦切は笑った。

 

複雑な家庭環境の中でも成は常に明るく上手にいなして過ごしていました・・

 

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