More(8) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「・・志藤さんをはじめ。 ホクトのみなさんにはお世話になっています。 ぼくがこの仕事を受けることで、いい方向に進めばって思っただけです。」

 

奏は楽譜を丁寧にケースに入れた。

 

さくらはふふっと笑って

 

「また。 大人みたいな気を遣い方をして、」

 

そう言った。

 

「でも。 どう考えても、話題性だけなんじゃないかって思うんです。 神宮寺さんほどの方が、いち高校生の自分と、なんて。」

 

「うーん。 彼女の本心はわからないけど。 でももっと奏は自信を持っていいんじゃないかな。 たとえ話題性だけだとしても。 こんな大舞台踏めるなんて幸せなこと。 たとえ世界の神宮寺であっても、恥ずかしいことにはならないと思うよ。 これは奏がこれからピアニストとしてやっていく上でいい機会かもしれない、」

 

さくらは手を洗って奏の方にやって来た。

 

「あたしも志藤さんも。 奏にはピアノ以外では、まだあんまり注目されてほしくなかったけどね。 ま。 世間は放っておかないかなって、」

 

そしてふざけて彼の頭を撫でた。

 

それが少し恥ずかしくて

 

「・・ぼくは。 ほんと・・今はピアノのことだけ考えたいんです。 世間がどうとか。 関係ないです、」

 

避けるようにさくらから少し離れた。

 

 

そして、翌々日、奏は学校の帰りに葦切と待ち合わせをして神宮寺綾の事務所に出向いた。

 

「昨日、もう斯波さんはご挨拶に行っているから。 東京シンフォニックにいたころね。 2度ほど神宮寺さんに出演してもらったことがあったんだよ、」

 

葦切は歩きながら言った。

 

「そうなんですか・・」

 

「なんていうか。 ホント、オーラがある人でね。 ちょっと気おされちゃうくらい。 ・・なかなか大変な人だけどー・・」

 

「大変?」

 

「でも。 奏くんならきっと大丈夫だよ、」

 

詳細は分からぬまま、彼女の事務所が入っているビルについてしまった。

 

 

 

しかし。

 

4時の約束だったのに、小1時間応接室でもう待っていた。

 

「先生の体調、前より良くなったみたいですね。」

 

「うん。 つわりもね。 少しあるんだけど、食べるとよくなるらしいよ。 なんか太りそう、とか言ってる。」

 

「まあ、でも。 食べられないより安心ですよね・・」

 

「奏くんのこの秋のジャパコンと出産がかぶるからって今から心配してる。 志藤さんがいてくれるから心配しないでって言ってるんだけど、」

 

「秋のジャパコンと、今年は12月のウィーンのドナウシュタットコンクールの出場も狙ってるんで・・。 先生のことだからまた無茶を言い出さなければいいと思って、」

 

「どんどん言ってあげて。 ぼくの言うことよりきっと奏くんから言った方が効き目あるし、」

 

 

どうでもいい会話が延々と続く。

 

奏はこの神宮寺綾からのオファーについて葦切の意見を聞きたかったのだが、彼女の事務所の中でその話題はできず

 

なんとなくうわべだけの会話になっていた。

 

奏は神宮寺綾の思惑が全くつかめずに・・

 

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