「ああ・・。 大阪からこっちの企画に来てた人・・志藤さんの同期っていう。事業部で仕事してたこともあって夏希がめっちゃ仕事できる人なんだって話してました。」
高宮は特に接点がなかったので詳しい話は聞いていなかった。
「もちろんまだオフレコな話やけど。」
休憩室に誰もいないことを確認してそう言った。
「役員、ですか。 すごい出世ですね。 今は課長待遇でしたよね。」
「まあ、役員を務めたあとは・・取締役になって将来は社長ということもあり得るかもしれへん、」
「へえええ。 すごいんですね・・」
「これから仕事で一緒になることもあると思うけど、ま。 頑張れや。」
志藤はいつものイミシンな笑顔で高宮の肩を叩いて行ってしまった。
頑張れって・・・
高宮はその意味を測りかねた。
志藤が秘書課に戻ると早速紗枝にばったり会ってしまった。
「おう、」
「ああ。 なんか久しぶりやな、」
紗枝は笑った。
「こんな狭いトコにいるのにな。 会わないと全く会わないな。 準備、進んでる?」
「準備? なんの?」
「いろいろ。」
「まあ・・。 人事のことは期末に正式に発表ってことになるけど。 内々にはもう少しずつ仕事覚えるように言われてるから。 これからNCの方に行ったりもすることもあるかもしれへんけど。」
「それもそやけど。 入籍は? まだ?」
陸との結婚話になってから数カ月が経過していた。
「ああ・・。 まあ。 そのうち。」
紗枝はあっさりと言った。
「え、まだ入籍もしてない?」
「うん。 相変わらず別々に住んでるし、」
「だいじょぶなん???」
本気で心配する志藤に
「別に。 入籍なんかいつでもできるわよ。 あんたがやきもきしても、」
「いや。 陸の心が変わったらアカンと思って、」
真面目な顔で言うと、紗枝はぷっと吹き出して
「そうやなあ。 それもそうやな、」
笑ってしまった。
「今、仕事の切り替わりでいろいろ忙しいねん。 彼の方は正式に東京への転勤が決まっていろんな手続きしてるとこ。 住むトコも探さなアカンし。 ほんまいろいろめんどいな、」
「めんどいて、」
「心配してくれて。 ありがと。」
紗枝はニッコリ笑ってその場を立ち去った。
陸との結婚が決まった紗枝ですが、いまだ入籍しておらず志藤はやや心配しますが・・
人気ブログランキングへ
↑↑↑↑↑
読んでいただいてありがとうございました。よろしかったらポチお願いします!