Everlasting(7) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「そっか。」


紗枝は少しだけ微笑んで俯いた。


「・・話そうと・・思ったんやけど、」


何度もチャンスはあった。


でも言えなかった。


「・・迷ってくれていたってことは、ぼくのことを考えてくれていたって・・いい方に考えてましたから。」


陸はそう言って笑った。



「ごめんなさい、」


紗枝は小さな声でそう言った。


「謝ることなんか、ないです。 真太郎さんから詳しい話は聞きました。 とてもいいお話やと思います。」



そうやない。



「大事なことなので、よく考えて決めた方がいいと思います、」



そうやなくて。



紗枝はぎゅっと唇をかみしめた。



「通り雨やったみたい。 ・・もうやんでる。」


そして窓の外を見た。


陸もふっと目をやった。


「ごめん。 ひとりで考えたいねん。 帰ってくれる?」


そして


ひんやりとした言葉を投げかけた。




彼はわがままなんか言わない。


あたしのことを困らせたりしない。


そんなこと最初からわかっていた。


この話を自分が受けて


東京に暮らすようになって


いつか彼も大阪に帰る時が来て


離れ離れになる。



彼なら絶対に反対なんかしないと思っていた。


わかっていて


東京に残る決心をしてしまった。



そんな自分が嫌で嫌で、その姿を彼に見られたくなかった。




あんなに降っていた雨が嘘みたいにやんで、もう雲の切れ間からキレイな月が見えていた。


水たまりだらけの道を歩きながらその月を見る。


そして


ため息をついた。




「この話を受けることについては。 気持ちを変えることはないと思う、」


紗枝の言葉に南はハッとした。


「紗枝ちゃん、」


「こんなに待遇のいいポストを用意してくださった社長や専務に感謝してる。 女だから、と言って今までさんざん差別されてきて。 こんなに嬉しいことはなかったし。 逆に専務に彼とのことが知れてなくて・・よかった、」


注いだコーヒーをブラックのまま少しだけ飲んだ。


「そんな・・。 ほんまにそれでええの?」


南はきっぱりと言う紗枝が理解できなかった。


「・・ええねん。 なんだかあたしも夢を見てしまった。 彼とつきあうようになって、正直仕事より大事なもの、久しぶりに感じてたけど。 でも、神様が目を覚ませって言ってくれたんやと思う、」


「陸と・・やっぱり別れるってこと?」


「わからへん。 でも・・やめるなら今のうちって気もする。 だってこのままつきあっていったら・・別れられなくなっちゃいそうやから、」


「そんなのおかしいよ! お互い愛し合ってるやん! 仕事と恋人両立でけへんなんて今どきある???」


語気を荒げる南に紗枝はいつもとは違う


怖いくらいのまなざしを向けた。


あまりに素直すぎる陸に紗枝は虚しさを感じ、そしてやっぱり彼とつきあうことができないのでは、と思い始めるのでした…



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