Secret Lovers(9) | My sweet home ~恋のカタチ。

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「あ、志藤さん。 すみませんが、今度のNCホールの使用許可の・・」

 

 

斯波は秘書課の志藤の所に書類に目をやりながら入っていった。

 

 

 

 

彼の反応がなかったので、初めて顔を上げた。

 

 

 

 

すると煙草を吸いながらボーっとする彼の姿が。

 

 

 

 

 

「・・どうか、しました?」

 

 

 

 

 

一見して、どうかしているように見えた。

 

 

 

 

 

「あ? ああ、ごめん。 なんやって?」

 

 

 

 

 

我に返って煙草を灰皿に押し付けた。

 

 

 

 

「・・ホールの使用許可を・・」

 

 

 

 

「ああ、はいはい。」

 

 

 

 

とファイルの中の書類に目を通した。

 

 

 

 

 

「珍しいですね。ぼーっとして。 二日酔いですか?」

 

 

 

 

 

斯波はひとつため息をついて言った。

 

 

 

 

「え? 二日酔い? 昨日はなあ、ここ4時半に出て家に帰ったんやで?」

 

 

 

 

「は? 4時半??」

 

 

 

 

 

仕事人間の志藤のそのありえない帰社時間に驚いた。

 

 

 

 

 

「娘から、メールで呼び出されて・・」

 

 

 

志藤は書類にハンコをつきながらボソっと言った。

 

 

「はァ、」

 

 

 

何があったんだろ、

 

 

 

 

斯波は聞きたかったが、果たして聞いていいもんか

 

 

 

よくわからなかったので適当に流した。

 

 

すると志藤はチラっと斯波を見て

 

 

 

「なんでかって、聞かへんの??」

 

 

 

よくわからないが逆切れしてきた。

 

 

 

なんでキレられにゃいかんのだ・・

 

 

 

 

めんどくさかったが

 

 

 

 

「何か、あったんですか?」

 

 

 

一応聞いてみた。

 

 

 

「とある少年のピアノを聴いてやってくれと頼まれた、」

 

 

 

 

もっとわけのわからない答えが返ってきた。

 

 

 

 

 

 

「へえ、ひなたちゃんの同級生が。 そういえばこの前真尋のコンサートに一緒に来たとか、」

 

 

 

 

 

斯波は志藤のデスクの前に椅子を持ってきて話を聞いた。

 

 

「コンクールに出してもらわれへんのやって。 そのお母さんに。」

 

 

「コンクール・・」

 

 

どこかで聞いた話だと思った。

 

 

 

「・・この前。 どっかんちのコドモが言うとったなあって。」

 

 

 

志藤も思い出していた。

 

 

 

真尋と絵梨沙の長男・竜生が同じようなことを言ってひと悶着起こしていた。

 

 

 

 

「まあ。 それはお母さんの考えがあるんやろって言うたんやけど、」

 

 

 

「でもその子はもう中2ですよね。 本人が力試したいって言うなら・・・普通は出すでしょう、」

 

 

「コンクールなんてレベルやないのかも、とか。 いろいろ考えたんやけど。 なんかしらんけど、ひなたがめっちゃ肩入れして。 ウチのパパに聴いてもらおう!とか言い出してしまったらしくて。」

 

 

そこでこれみよがしな大きなため息をついた。

 

 

「・・そんなことで会社、早く退けたんですか?」

 

 

思わず本音が出てしまった。

 

 

すると、志藤はキッと彼を睨んで

 

 

 

「ウチに連れてくる言うてるのに! おれが帰らへんで、どーする! ウチのヨメとか他の子供らがめっちゃウェルカムみたいになってるとこに、おれが入って行くのなんて嫌やん!!」

 

 

 

 

ものすごい早口でまくしたてた。

 

 

 

 

どうでもいい・・

 

 

 

 

斯波は座って話を聴き始めたものの

 

 

 

ひょっとしてくだらない話かもしれないと思いなおし、やや腰を浮かしかけた。

 

 

 

「で。 しょうがない。 ウチの古いアップライトで弾かせてな。 適当に言うて帰したろって思って。」

 

 

 

本題に入って来たようだった。

 

 

 

 

ややめんどくさい導入で志藤は奏のピアノを聴いたことを斯波に話し始めましたが。

 


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