Overflow(6) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「・・そうだったの・・・」



母は拓馬から全てを聞いた。



「あんなに・・反対してたのに。 頭下げてまで・・・・おれのこと、」



拓馬は涙が止まらなかった。



「お父ちゃんだって。 こうすることが一番いいってわかってたはず。 だけど・・やっぱりあんたのことが心配だった。 でもお父ちゃんが仕事できなくなって、あんたが一生懸命やってたの・・見てたから。 息子として立派だなって認めてくれたんだと思うよ、」



母は温かいお茶を差し出した。



「・・なんか・・どうしていいかわかんねえよ・・・。 彼女にも、おれなんも答えられなくて、」



30も半ばを過ぎた息子が


まるで泣き顔は小学生の時のままだと母は少し微笑ましかった。



「大事なことだよ。 よく考えて。 全てのことを・・よく考えて、返事をしなさい。 あたしはあんたの決めたことは全力で応援するから、」



いつものように母は優しく言った。






「昨日は。 ありがとうございました、」


詩織は千崎に会釈をした。



「なんの、ことですか。」


そっけなくそう答えた彼に


たいしたことじゃなかった、と言いたげな雰囲気を汲み取って



「・・私。 自分の人生は自分で切り開く決心をしました。 何にも流されず、自分を信じて突き進んで行こうと思います。 仕事も・・今以上に全身全霊をかけて取り組んでいきます。 ・・千崎さんのお力をお借りすることもあると思います。  『千睦流』のために・・・どうか、よろしくお願い致します。」



それは


自分の位置をきちんと定めた言葉だと


千崎は理解した。



あの詩織の作品の前で


瞬きもしていないのではないか、と思えるほどの眼差しを投げかけていた拓馬の姿は


彼女との心の結びつきが


全く綻んでいないことが感じられた。



詩織の作品であることを本能が感じ取っているようだった。




『・・白川・・拓馬さんが、来ています。』



詩織にそう告げに行ったのは


自分の人間としての心がそうさせたと思っていた。



いや


自分が彼が来ていることを告げなくても


きっと二人はいつか


また巡り会う運命にあっただろう。



「・・私は。 『千睦流』とともに人生を過ごします。 誰のためでもなく、」



千崎は全てを納得したように


スッと背筋を伸ばしてそう言った。




拓馬の母は優しく息子を見守ります。 そして詩織は吹っ切れたように自分のこれからをきっぱりと千崎に告げます。




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