とても
信じられない気持ちだった。
あれだけ自分たちの仲を反対していた拓馬の父が。
「・・・どうか・・・。 ろくでもねえ・・息子ですが。」
大きく頭を垂れて。
詩織は慌てて
「・・そんな・・そんなことしないでください、」
申し訳なくなって自分も腰を屈めた。
「こんな立派な家に・・・息子を貰ってもらおうなんて・・図々しいですが。 それでも、おれは・・・あいつを真っ直ぐに育ててきたつもりだ。 どーしようもないヤツだったけど、なんとか世間に出しても恥ずかしくない息子にはなったと思う。 どうか・・・、」
頭を下げるだけでは足りないというように
拓馬の父はいきなりその場に土下座をし始めた。
「・・お父さま!」
詩織は同じようにしゃがんで拓馬の父の肩に手をやった。
「お願い・・します。 拓馬を・・・・・」
泣いている顔を
見られないように
顔が地面につくくらいに頭を下げた。
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拓馬は
その話をすぐに信じることができなかった。
あの
オヤジが。
小さく首を振った。
「お父さま・・・本当に必死に私に言ってくださって。 もう・・どうしていいかわからないくらい、」
詩織はその時のことを思い出して、声を震わせた。
「・・・ゆっくり・・考えさせてくださいって。 そう申し上げたんですけど。」
もう
時間があまりなさそうですから。
父はポツリと最後にそう言い残したと
詩織は小さな声でそう言った。
拓馬は瞬きをするのも忘れてしまいそうなほど
驚いた。
父が
自分の命の限りを知っている
誰にも
言わずにひっそりと
その事実を受け止めている・・・・
「・・・バカやろう・・・・。 ほんっと・・・素直じゃねえし、」
拓馬は彼女に背を向けるようにガラスに額を押し付けた。
ガラスに映ったその顔は
泣き顔で歪んでいた。
父は自分の命の限りを知り、詩織に拓馬との結婚を願いに行きました…(ノω・、)
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