Overflow(2) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

もうこれ以上のお膳立てはする必要はないと


志藤は思っていた。



たぶん


お義父さんの気持ちは二人に伝わっていると思う。



まだまだわけがわからないような拓馬を残してそのまま会場をあとにした。




「・・・すみません、遅くなってしまって。」



拓馬は会場の外の廊下の夜景がよく見える大きな窓ガラスにもたれながらタバコを吸っていた。



「ううん。 忙しいんだから。 おれが勝手に来ただけだし、」



ふと微笑んだ。



いったい何から彼女に聞いたらいいのか。



拓馬はいろいろ思いめぐらせてしまい、なかなか切り出せない。


すると



「・・・10日ほど前でしょうか・・・。 拓馬さんのお父さまがわざわざうちまで来てくださったんです、」



詩織から口を開いた。



「え・・・・」



あの父が詩織に会いに行った



それだけで驚きだった。



詩織もあの時のことを思い起こした。





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詩織は歩くのも不自由そうな拓馬の父と立ち話をすることになってしまったことが


気になって仕方がなかった。



「近くの喫茶店に入りましょう、」


と勧めたが


「いや。 ここで結構。」


父は杖をついて、しっかりと背筋を伸ばした。



「あんたと別れてから。 ・・・拓馬はなんも言わずにおれの代わりに仕事をやってくれた。 ・・・正直、まだまだなところもあるが・・・、よくやってくれたと思う、」



最初にその口から出たのは


拓馬への感謝の言葉だった。



「おれが親の面倒を見るなんて・・・エラそうなことも言いやがって。 別に自分らの面倒を見てもらいたいから子供育ててきたわけじゃねえ。 きちっと一人前にして世間に出すことが親の役目だ。」


一見、痩せてしまって随分弱々しくなってしまった拓馬の父だったが


その張り詰めた声はそのままだった。



「・・・あいつは。 一生結婚しねえって。 そう言った。」



「えっ・・・・」



詩織は思わず小さな声を出した。



「きっと。 一緒になるのは・・・あんたしかいないって思ってたんだと思う。 娘に子供が生まれて・・・赤ん坊を抱っこして嬉しそうに笑うあいつを見ていたら。 こいつにこんなちっぽけな幸せを・・おれはやれねえのかって。 おれなんかのために・・子供にそれを諦めさせるのかって。」



父は声を震わせた。




「もし。 あんたが・・・まだあいつのことを思ってくれているのなら。 どうか・・・あいつをもらってくれねえか。」


いつもの厳しい顔ではなく


穏やかな眼差しで詩織を見つめた。




なんと父は詩織に拓馬との結婚を逆に頼みに行っていた・・?




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