Morgen~明日(14) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

いつもいつも難しい顔をして


よけいなことをしゃべるわけでもなく



それでいて容赦なくダメ出ししたり。



志藤とは別の意味で厳しい斯波が



まさか自分の意思を汲んでくれるとは思わなかった。



その問題に関しては結論が出ず、仕事があった志藤は先に帰った。



真尋はまた斯波と二人きりになり、シンとした空間に置かれてしまった。



「あ~~~、あの。」


それに耐え切れず真尋から妙に遠慮がちな声を掛けた。



「あ?」


まためんどくさそうな返事を顔を見ずに返された。



「なんか。 味方してもらっちゃって・・・・ありがと、」


照れくさいけど一応礼を言った。


「味方ってわけじゃないけど。 おれはこの曲がイイ、と思ったからコンサートでやってみるのもいいんじゃないかと思っただけだ。」



そっけなさすぎる返事が返って来た。



せっかく礼を言ったのに。



またムッとしたが、



「確かにシェーンベルグ氏の思いを背負うのは大変だ。 志藤さんはきっとあれだけの評判を得たおまえのピアノを一流と認めさせなくては、と責任を感じているんだと思う。 でも。 本来の北都マサヒロの良さがなくなったら元も子もないから。 今までクラシック一辺倒でやってきたおまえにとっては冒険だけど、きっと新しいファンもついてくれると思う。」



無口な斯波がここまでしゃべるのも珍しかった。



しゃべらないだけで、こうやってキチンと考えてくれている・・・



ちょっとジンとしたところで



「ま。でも。 勘違い甚だしいかな。」



いきなりそう言われた。


「は???」


「おまえはポップスのミュージシャンと違うんだから。 新曲のツアーとか。 浮かれてんじゃねーよって。」



一転して怖い怖い顔で言われた。



「なっ・・・う、浮かれてなんかねーだろっ!」


真尋は思いっきり言い返したが



「そろそろ気力も蘇ってきたみたいだし。 海外からのオファー、たんまり来てるから。 仕事、再開してもらおーか。」


斯波は吸っていたタバコを灰皿に押し当てて、すーーっと出て行ってしまった。



「お・・オニっ!!!」



ボキャブラリー不足の真尋は


小学生並みの罵声しか浴びせられずに・・・






「これ。 締め切りギリギリまで待ってた北都マサヒロの海外からの公演依頼のリストです。 ここから彼に合う仕事を選んでいきたいと思います、」


斯波は帰ってから志藤のデスクの前に行き、プリントアウトした紙を手渡した。



「仕事? 真尋、仕事復帰すんの?」


それを聞いていた南が飛んできた。



「こっちに戻ってきてそろそろ丸3ヶ月。 いいんじゃないでしょうか、」



斯波はあっさりと言った。



「でもー。 もちょっとゆっくり休ませてやったら?」


ウイーンでの真尋の状態を知っていた南は遠慮がちに言った。



「これらの仕事はみな半年以上先のものだし、そこまで丸々休ませるわけにもいかないでしょう。」


志藤はそれを見ながら、うーんと考え込んだ。



「でもさあ・・・。 あれでも神経ズタボロになるまで頑張ったんやで? 先生が亡くなって、そのショックもあったし・・」



南は真尋に同情しながら言った。



斯波はそんな南を見て



「それがいけないんじゃないですか、」



ポツリとつぶやくように言った。



やっぱり真尋の『天敵』の斯波ですが、彼のこれからのことも冷静に考えているようで・・・



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