Licht~光(1) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

病院に着いたときは


もう等間隔で陣痛がやってくるようになっていた。



「・・いたたた・・・」


絵梨沙はベッドで顔をゆがめた。



「もー。 真尋に電話しても全然出えへん・・。 あたしあとでスタジオに行ってみる、」


南はイラ立ちながら言った。



「・・いえ・・。 電話に出ないってことは。 きっと練習に没頭してるんだと思います・・・・。 それに・・知らせても、きっと真尋は・・来ません、」


絵梨沙は痛みに耐えながら南に言った。



「え・・・」



「あたしなら、大丈夫・・。 南さんがいてくれたら・・・」


そして、笑顔を作った。




・・・ほんまにもう。


健気やなあ・・・



南はそんな絵梨沙がたまらなく愛しかった。



「・・うん。 そやな。 どーせ真尋が来てもなんも役に立たないもんな。 あたしのが数十倍役に立つ!」



絵梨沙の手をぎゅっと握って南は元気に言った。





絵梨沙のお産はジリジリと進むが、やはり初産なのでなかなか産まれない。



日本と違ってあまり医師も看護師も来たりしないので、南は眠らずに苦しむ絵梨沙の世話を焼いた。


そうこうしているうちに夜が明けた。




南は何度か真尋に電話をしたが一向に出ず、イラついていたところ


何度目かにようやく



「・・・はい・・」


ものすごい眠そうな真尋の声がした。



「あ! 真尋? 南だけど! も~~~、何で出えへんねん・・・」


「・・南ちゃん・・・? え? 電話した???」


それさえも気づいていないようだった。



「あのね! ゆうべエリちゃんが産気づいちゃって! 今病院やねん、まだ生まれてへんねんけど・・めっちゃ苦しそう・・・」



それには


「え・・・」


と、少し驚いたような声を出した。



「ちょっとでいいから顔出して! エリちゃんひとりで頑張ってるんやから、」



絵梨沙は健気なことを言っていたが、やはり心細いのではないかと思う南は必死に言った。



しばらく沈黙があったあと



「・・ごめん。 今日は・・ジイさんを午前中に家に迎えに行って・・・・。 それからずうっと詰めるから・・・。 終わったらジイさんを病院に送りにいくから・・そんとき・・・」



絵梨沙が想像したとおり


真尋は来るつもりはないようだった。



「でも! あんたの子供が生まれるんやで! 少しだけでも、」


南はやはり釈然としなかった。



「・・ごめん。 時間・・ねえんだ。」



真尋は絞り出すような声で言った。


「真尋・・・」


このごろ


シェーンベルグが目に見えて衰弱していっていた。


レッスンもほとんどぐったりとイスに座った状態で、時々薬のせいか眠ったりしながら


何とか続けている状態だった。


ガンが骨に転移して、痛みも相当らしかったが


薬で押さえて無理をしていた。



「ごめん・・・。 南ちゃん、頼む・・・」



その悲痛ともとれる声に南は何も言えなくなってしまった。



絵梨沙の出産が近づきましたが、やはり真尋はシェーンベルグとの時間を優先して・・・



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