passionato~情熱的な(10) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「真尋がこんなことになって。 おれ、ずうっと考えてたんやけど、」


志藤さんが口を開いた。



「・・・真尋はもうプロ1本でやっていった方がいいんじゃないかって。」



みんなハッとして顔を上げた。



「ちゃんと学校を卒業できればそれに越したことはない。 だけどあと1年かかって音楽院を出ても・・・。 今、出ても。 同じやと思うねん。 逆に1年をムダにするんじゃないかって思う、」



「日本でやらせるってことですか、」


お兄さんがそう言った。



「それは。 フェルナンド先生に相談したい。 真尋が一番いい状態でピアノの仕事ができるところで。 真尋はもうプロとしてピアノだけで生きていけるだけのものはあると思います。 でも・・・まあ、まだキチンとした仕事が来るまでは時間がかかるでしょう。 でも・・何とか仕事を探してやって・・・。 軌道に乗るまで、」



志藤さんの思いに


私は胸が熱くなった。



彼は不思議な人だ


彼の周りには彼をいい運命に導いてくれる人達が集まる。



「もともと・・・真尋はピアノの腕を磨くためにウイーンに行ったわけですから。 学校に行くことが目的ではなかったということにもなります。 自分でピアノバーの仕事やライヴなんかもやれるようになって、その目的は果たせつつあります。」


お兄さんは落ち着いてそう言った。


「ねえ、エリちゃんから見て。 真尋はもうピアノだけでやっていけると思う?」


南さんが私に聞いてきた。



「それは・・・・。」



私はとっくにわかっていた。


真尋はもう学校に行くことが一番必要なことではないことを。



彼はプロのピアニスト・北都マサヒロとして仕事をしていくべきなんじゃないか、と。


だけど


それは私たちの別れを意味するんじゃないかと思って


誰にも口に出せずにいた。




「・・・エリちゃんに聞いても。 今はつらいだけやん、」



志藤さんがその質問を遮ってくれた。



「ほんっとにもう! こんなにみんなに迷惑を掛けて! 心配をかけて!」


お母さんは怒りが沸きあがってきたみたいで、いきなり怒り出した。



「おれからまず・・・フェルナンド先生に相談してみるから。 あとは。 真尋の決心だけど、」



志藤さんはそう言ってタバコを灰皿に押し付けた。





父は


やはり志藤さんと同じ考えだった。


もう今の真尋は留年してまで学校を出ることに何も意味もないのではないか、と言ったそうだった。





「桜だァ・・・・」



日本はもう春だった。



彼の車椅子を押して私は病院の庭に散歩に出た。



ひらひらと舞う花びらを彼は手の中に入れた。



「日本で桜見るのなんか・・久しぶりだな、」



真尋はそれを見てフッと笑った。



「うん・・」


私も穏やかな春の陽射しを浴びて、のんびりとした気持ちだった。




みんなは真尋のことを思い結論を出そうとしています。 そして真尋も・・・


My sweet home ~恋のカタチ。






↑↑↑↑↑↑


読んで頂いてありがとうございました。

ポチっ!わんわん お願いします!


人気ブログランキングへ 左矢印 携帯の方はコチラからお願いしますドキドキ


My sweet home ~恋のカタチ。