crescendo~だんだん強く(10) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

彼がトイレに立ったとき



「・・・本当に・・弟とつきあっているわけじゃあないんですよね??」


お兄さんは確認するように言ってきた。


「えっ・・ち、違います。 別に・・・」


顔が赤くなってしまった。



「あれでも。 けっこう女の子にはモテますから。 いいかげんだし。 高校のときもふたまたされた!とか言って女の子がウチに押しかけたこともあります、」



また衝撃の話だった。



「本人に悪気はないんですけど。 感覚で行動してしまうので。 ぼくとは正反対で本当に自由で、」



確かにそんな感じがした。



「それが。 すごく羨ましいと思っています。」


お兄さんはふっと微笑んだ。



ボロクソに言っていても、弟を慈しむような笑顔だった。



「すごく逞しくて。 きっと何をやっても一人で生きていけるっていうか。 ちゃらんぽらんに見えますけど、ぼくより生活能力があってしっかりしている。 学校の勉強は本当にできなかったけど・・・。 こうして自分の道を見つけて頑張っている。 なんだかんだ言ってぼくには『ホクト』がバックについています。 でも弟には何もないって自分でも思っているんでしょう。 羨ましい強さです、」



こんな風に自分の弟を褒めることができることに


感動した。



「彼・・・1月の終わりにある学校の創立祭のピアノコンチェルトのピアニストに選ばれたんです。 ピアノ科の生徒はたくさんいるけど・・・・。 指揮をするマエストロ・シモンに認められて、」



私はポツリポツリとそう言った。


「え? 本当ですか? 知らなかった、」


「それに。 学校の近所のピアノバーでバイトもしていて。 彼が弾く日はお客さんでいっぱいになります。 ほんと・・・すごいんです。 一度聴いたら、ずっと聴いていたくなるピアノです。」



彼を褒める言葉がこんなに出てくるなんて。


自分でも驚いた。



「すごい才能があるのに。 何だか欲がなくて。 別に一流ピアニストにならなくても、こうしてお客さんに少しでも自分のピアノを聴いてもらえばって・・・そう言うだけで。 私のほうがヤキモキしてしまうくらい。 彼の才能に・・嫉妬するほどです、」



私の言葉にお兄さんも驚いていた。



「・・真尋は・・そんなに才能が、あるんですか。」


「彼の・・・ピアノは聴いたことないんですか?」


「弟はコンクールが嫌いで。 そういう場にも出ないし。 ピアノの先生のところでレッスンを受けていたので・・ぼくは、いえ家族は逆にあまり聴いたことがありません、」


「そうなんですか?」


逆に驚いた。



「ただ・・・本人にあまり上昇志向がないみたいで。 父も彼のいいところを伸ばそうとしているので、今はピアノを弾いていれば楽しいって・・思うだけみたいです、」



「そう・・ですか。」


その時お兄さんはジッと何かを考えているようだった。




「なに親密そうに話してんだよー。 また女殺しのオーラ出しまくっちゃってさ、」


彼がどやどやと戻ってきた。


「女殺しって、なんだよ。」


お兄さんはムッとしていた。


「こいつさ~。 ほんっと真面目だから。 中学とかの時なんか『コレお兄さんに渡して!』って女子がもうおれに色々頼みに来てスゲー、ウザかった。」


「ほんと。 全然違うのね、」


私は笑ってしまった。


「そうそう。 先生にもさー。 兄貴を見習えとか言われて、ほんとうるせーったら。 高校でようやく真太郎と離れられてせいせいした。」


彼はまたすごい勢いで食事を始めた。



「いつ日本に帰るの?」


そしてお兄さんにそう聞くと


「あー・・・明日、NYに、」


ちょっとボソボソとしてそう答えていた。


彼はそれを聞いて、


「は~~~~~、そうかあ・・。 その『ついで』ね、」


ニヤニヤと笑ってお兄さんの背中をぽんぽんと叩いた。


「・・ついでじゃないって・・・。」


お兄さんは恥ずかしそうにうつむいた。


まだまだ


私は彼の家族のことも何も


知らない頃だった。




真太郎がNYに行きたい理由は・・・もうおわかりですね?('-^*)/



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